『心を整える。』(長谷部誠/幻冬舎)の5弾広告が日経新聞の2面に出ていた。著者の長谷部選手も「サッカー日本代表」という肩書きと共にドーンと顔の写真が掲載されている。さらに「ワールドカップ・ベスト16、アジアカップ優勝。日本サッカーの躍進は、この男の誠実なキャプテン力なしには語れない。」「※著者の印税は全額、ユニセフを通じて『東日本大震災』支援のために寄付させていただきます。」「40万部突破!」というコピーが、これでもかぁーっていう感じで並んでいるが、何と言っても書名の横のサブタイトル「勝利をたぐり寄せるための56の習慣」と、実際にその56の習慣の見出しが並んでいる部分が目を引く。
週刊誌の電車の中吊や新聞広告ではないが、この56の見出しを読んだだけで、買わなくても内容の半分以上はわかった気になる。本の売れ行きに影響すると思うが、これも「40万部突破!」の余裕の表れか。僕がよく行く本屋では、売れ行きベスト10の第2位に並べられていた。
僕はこの本が出たばかりのとき、本屋で手に取ってみて、ちょっと奇麗に作りすぎている(文字の色も確かブルーだったと思う)と感じて買っていないのだが、もうこの見出しさえあれば読んだ気になれる。56の中で僕が気になったり気に入ったりしたベスト5は、この見出し。
25、群れない。
33、読書は自分の考えを進化させてくれる。
34、読書ノートをつける。
45、楽な方に流されると、誰かが傷つく。
50、自分の名前に誇りを持つ。
「群れない」は僕が群れるのが嫌いなのでピッタリくる言葉。「読書」に関する2つは「本の宇宙」として興味が湧く。そういえば長谷部選手も含めてアスリートの読書を特集していた『Number』は売れただろうか?いいことやるなぁと思って僕は買ったけれど売れるなぁとは思わなかったので少々気になる。それはともかく、「楽な」と「自分の名前」はどんなことが書いてあるんだろう?これがこの広告の狙いどころか。
この欄には今まで、読んでいない本のことを書いたことはあるが、読んでもいず買ってもいない本のことは初めて紹介した。こういうやり方もあるんだなぁと、自分ではちょっと新しいことをやった気になっている。
(ことしの本棚 第41回 針谷和昌)
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