「危機的状況の中の希望」という村上龍のニューヨーク・タイムズへの寄稿文が、ネットの世界で静かな話題になっている。僕は友人の Facebook への書き込みによって知った。そして単に「いいね!」をクリックするだけでなく、多くの人に読んでほしいと思った。
文中、引用されている『希望の国のエクソダス』(文藝春秋)は、村上龍の作品の中で最も好きなもので、読み終わった後、インパクトを受けてボーッとする中で、希望というものをいろいろと考えたことを覚えている。
日本にずっと漂う閉塞感。実際に社会が停滞している中で登場したこの作品を読んで、最終的に、未来への希望は、若い人たちの新しい力への希望だということが、僕の中での結論だった。
今回のこの寄稿文を読んで、これは『希望の国のエクソダス』の続編なのではないかと感じた。あの時と同じように、新たに見えて来た希望に向けて、新たな力が湧き上がってくるような気がした。作家の力を見た思いがする。
(ことしの本棚 第25回 針谷和昌)
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