一昨年の6月に出た本。すぐに買って数ページを開いたけれど暫く読まず、ずいぶん経って去年、本棚から引っ張りだす。それからまた積ん読状態になる。積んである居間に寝転んでだいぶ読み進んだけれどそこで更にお休み。そして積ん読の場所が居間の床から机の上に動いたのが去年の暮れ。その中から見つけ出し、ようやく先ほど開いて、ザァーっと読んだ。眺めた。見た。
『たのしい写真 よい子のための写真教室 』(ホンマタカシ/平凡社)
「ホンマシャシンハタノシイワ」(ほんま、写真は、楽しいわ)。作者の生まれ育ちには関係ないが、なぜかそう大阪弁で言ってみたくなる。読み進むうちに、写真の歴史も、今も、何となくわかってくる。写真の本がたくさん紹介されているので、いつかその部分のみピックアップしてリストにしてみようとも思う。
最もインパクトのある写真は、宮崎学の4枚の写真。雪に倒れて鹿が死んでいる。その鹿の上に更にうっすらと雪が積もりその上に鳥がとまっている。鹿が他の動物に食べられている最中。鹿の骨の上にまた雪が積もっている。そういう4枚である。写真集『死』(平凡社/1994)と紹介がある。今度本屋で探してみよう。
次に印象的な写真は、フィンランドの女性アーティストであるトゥーラ・ネルヒンの作品。木が風の力で描いた絵。
…チッポケな自分自身の内面よりも、自分を取り巻く環境にこそ無限の可能性があると考えるほうが前向きで健全な気がします。…印象的な2つの写真の少し前に書かれているホンマタカシの文章。
肩の力を抜いて気張らずに写真を撮ってみよう。いろんな撮り方で撮ってみよう。そう思わせてくれる。そして写真を撮りながら慣れない大阪弁をつぶやいている自分を想像する。
(ことしの本棚 第24回 針谷和昌)
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