ことしの本棚18『最高齢プロフェッショナルの教え』

いま(社)本の宇宙では、「大学生に薦める本」、就活している学生に薦める本を、多くの協力者に選んでいただいている。もし僕が推薦するとしたら、最近ではこの本を挙げたいと思う。

『最高齢プロフェッショナルの教え』(徳間書店取材班/徳間書店)

漫画家、パイロット、ギター職人、喫茶店店主、落語家、ライフセーバー、スキーヤー、ピアニスト、花火職人、杜氏、DJ、バーテンダー、JRA騎手、洋樽 職人、声楽家。この15人の年齢は、上から103歳、96歳、93歳、91歳、90歳…2番目に若い人が78歳で、いちばん若い人が51歳。この“とびきり若い”51歳のJRA騎手を入れても、平均年齢は実に86歳。

さすがにサラリーマンはいない。言うまでもなく定年があるから。漫画家で「アンパンマン」の作者やなせたかしは三越に勤めていたそうだが、元サラリーマンは彼だけ。つまり、会社に入らなくても日本を代表するプロフェッショナルになれるというお手本を見て、今の人たちは勇気が湧いてこないだろうか

…本当に正義の味方なんだったら、ひもじい人を助けるのが先ず先なんじゃないか…
…仕事にするなら、好きなだけじゃなくて、素質が欲しい…
…人に迷惑をかけんこと、面白いことをするほうが先…そんなに簡単に、人の役になんか立てるもんか…
…『真似ぶ』がなまって学ぶになったんだよ…
…無理して学んでも後から始めた人間が追い越していきます。おやめなさい。…みんな一生懸命にやってんです…
…水難救助は尊い仕事だから、堂々と海水浴場へ行ってきなさい。そして、夏が終わったら戻ってこい。お前がいないと困るから…
…挑戦する勇気が湧かないんだったら、読む、書く、聴く、動く、です。脳を刺激して、考える力を鍛えるには本が一番。本屋さんに行ってごらんなさい。あそこはアイデアのもとがいっぱい並んでいる…
…ピアノがね、語り出すんです。…
…10年で一人前だと言います。でも、知力と体力に、自分から進んで苦しい仕事に向っていく根性と忍耐力が備わっている人間は、その半分の時間で一人前になっていきます。…
…人間は完璧ではありませんから、この人はダメ、この人もダメ、などと思っていたら使える人材はゼロになる。…
…長く続いた秘訣ですか?最初から細かい計画を立てなかったことでしょうかね。…
…最も大切なのは、「お客さまに恥をかかせないこと」なんです。…
…仕事は探せば必ずある…
…「俺は頭がいい」と自分に言いきかせるようにして。そうしたら不思議なもので、集中力が増してぐんと増してスルスルと頭に入るようになった…
…「才能のある、なし」なんてことは、自分ではわからないものです。….

誰がどの台詞を言ったのかというより、皆さんに共通しているものがあるように思う。目の前にあることへの、集中力と持続力。そして台詞の中にはこの方々の師匠の言葉も幾つもあって、良い師匠に巡り合ったということも言える。言い方をかえると、師匠を受け入れる準備が彼らには出来ていたのだと思う。

いずれにせよ、こんなに長く仕事をするなら好きなことじゃないと続かない。逆に言えば、好きなことをやってるからこの歳になっても続けているということ。 そう考えると僕も近い将来、こういうリストに数えられるようになるかもしれない…なんて言っている場合ではなく、目の前の課題解決に全力を注がなければ。

ことしの本棚 第18回 針谷和昌)

hariya  2011年2月20日|ブログ