『審判目線 >>>面白くてクセになるサッカー観戦術』(松崎康弘/講談社)
ブログで紹介するから送ってくださいねと何度も念を押し、それに応えて複数冊送ってきてくれた著者には申し訳なかったのだが、ブログに書く時間はもとより 読んでいる時間すらなくて、積ん読状態になっていた。実際、まだしっかりと読んでいないのだが、前に出された本を別のブログでも何回か紹介したことがあるので、その時を思い出しつつ書いてみたい。
どんなスポーツでもそうなのだが、プレイヤーとレフェリーの関係が良好、という状態は珍しく、とくにプレイヤーや監督は審判に不満を持っていることが多 い。世界的にもそうなのだろうと推測していたのだが、先日、朝日新聞で内田篤人(独 シャルケ)は、審判によって判断基準がぶれることがないので、誰もが迷わず勝負を挑めると語っていた。ドイツのレフェリーとフットボーラーは幸福な関係を築いているようだ。
松崎さんがこういう本を出そうという動機には、そういう関係に一歩でも近づけたらという思いがあると思う。松崎さんは前著『サッカーを100倍楽しむための審判入門』でも、レフェリーのミスはミスとしてズバズバ切り込んでいる。今回も『読んでない本について堂々と語る方法』での<流>スタイルで読んだ限りでは、その切り方が衰えていない。いやますます思い切りがよくなっている気がする。
先日、フットサル関係の新年会で松崎さんにお会いした時、こちらもズバッと「ヘタなレフェリー」について訊いてみた。そうすると、先ずもともと技術的にあ るレベルに達していないレフェリー、そして技術はあるがゲームコントロールができないレフェリーという2例を挙げてくれた。
レフェリーは教科書通りキチキチッと反則をとっていけばいいものではないらしい。その塩梅はとても難しいと思うが、そこを間違えると日本のトップレフェ リーでも、かなり揉めるゲームになり、尾を引くことがあるらしい。そういう時は海外に派遣し、別の環境で勉強させるなどして、そのレフェリーの成長を促すようである。
そうやってずっと成長を見守ってくれているバックを持った競技のレフェリーは、とても幸せだと思う。同時にこのようなダイナミックな育成の姿からも、現代 の日本スポーツ界をリードするサッカー界が見えてくる。そして先端を行く競技の審判委員長の話は、スポーツにおいて環境づくりがいかに大切で、具体的にはどうすればいいのかなどの、具体的示唆に溢れていると思う。
[松崎さんの著書]
『サッカーを100倍楽しむための審判入門』(松崎康弘/講談社)
『フットサル・レフェリーズ』(松崎康弘/アドスリー)
(ことしの本棚 第10回 針谷和昌)
追記)面白そうな本を無意識に買っていると、いただいたこの本を含めて「サッカー」関連の本が圧倒的に多い。例えば野球と比べてみれば、5倍ぐらい。Jリーグ発足以降、いま何度目かのサッカー潮流がやってきているのだと思う。
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