『すべてはどのように終わるのか – あなたの死から宇宙の最後まで』(クリス・インピー/小野木明恵 訳/早川書房)
死ぬのがこわいからこの本を買った。この本を読んで死の恐怖が少しでも治まるのではないかと思って買った。まだ読んでない本がいっぱいあるのに、なぜまたこんな470ページ以上ある厚い本を買ってしまうのか、自問自答した答えがこれだった。「終わり」や「死」など、なるべく近づきたくないものであるだけに、近づいてしまう。バンカーに打たないように意識するとバンカーに打ち込んでしまうのと一緒か。ゴルフをやらない僕が書くべき比喩ではないかもしれないけれど。
とにかく、こわいものにはまったく近づかないか、あるいは逆に思いっきり近づいていくか、結構どちらかの選択に分かれると思う。近づけばよくわかり、こわ いものを味方にすることもできるが、理解したり味方にしたとしても本質的にそのものをこわがっていることに変わりはない。そういう複雑な心理があると思う。
さてこの“こわい”本、いきなり臨死体験の話が出てきて、手術されている患者が天井から自分を見ている話になる。あれ、これ確か脳の働きだと何か に書いてあった…と“積ん読”状態で何段も重ねた本群の中から引っ張り出す。
『単純な脳、複雑な「私」』(池谷裕二/朝日出版社)
…あったあった、幽体離脱のお話。刺激すると幽体離脱を生じさせる脳の部位があると言う。装置を使って脳を刺激すればいつでも幽体離脱ができるとも書いてある。
この本は読み始めてもう1年ぐらい経つのでは。さてどうやって読み終わるのか。そしてこの『すべてはどのように終わるのか』もどう読み終わるのか。万が一どちらも読み終わらなかったとしても、ここに書いておきたい本である。
(ことしの本棚 第6回 針谷和昌)
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