
砂は人類にとって欠くことの出来ない物であり、あらゆる物の素材となり、世界の名だたるビーチは別の場所から砂を運んできてリゾートにしていて、砂がどんどん減っていくので何年かに1度は補充している…そんな話を読み進んでいくうちに、こんな文章に出くわした。
「浜辺の魅力は“労働を示唆する”ものすべてが排除されているという事実にある」
自分でも意識していなかったけれど、そもそも遊びであるスポーツのその中でもビーチでやるスポーツは遊びの中の遊び。だからビーチバレーというスポーツに、自分自身あれほど惹きつけられたのだ。この一文で、瞬時にそのことが分かった。ビーチバレーに携わっていても、ビジネスしている奴がたまにいたけれど、そういう輩は魅力的ではなかった。せっかくのビーチなのにスポーツなのに、遊んでいなかったからだ。さらに僕自身、日々の仕事も仕事でなく、遊びとしてやっていたことにも気がついた。あらゆる魅力的な仕事が遊びで、その最たるものがビーチバレーだった。遊びがない仕事は、仕事のための仕事だ。
「…ビーチは…純粋な娯楽のための場所…まったく何もしなくていいのだ…やりたければ何でもできるが、何もせずにくつろいでのんびりとただ座っているだけでもいい。広がる砂地は、何でも描けるキャンバスなのだ……」
ビーチバレーというスポーツに30年以上携わってきて、新しい大会をたくさん作り、新しいアトラクションをたくさん試し、様々なプロモーションに何でもトライできたのは、何でも描けるキャンバスである、ビーチという環境が大きかったということ。
「7,500,000,000,000,000,000」
750京。全世界のビーチにある砂粒の個数。無限大にあると思っていた砂粒が数えられる。こちらは有限だった。数年前に単行本が出た時には必読本と思ったのだけれど、その厚さに読めるのか?と躊躇って買わずじまい。最近文庫になり、ラストチャンスと思って購入した。気になる本は、やっぱりまず買うべきである。
(針谷和昌)
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