サムライブルーカフェ開店期間中、「サッカー 本の宇宙」のラインアップには間に合わなかった新刊本を、何冊か読んだ。その中で、もう少し早く読んでいれば、ぜひこの「宇宙」の1冊に入れておきたかったと思った本がある。
『ワールドカップは誰のものか FIFAの戦略と攻略』(後藤健生/文春新書)
読んでいて、知らなかった、とか、なるほど、というところがたくさん出てくるが、思わず「ふ~む」と唸ってしまったところは次の話だ。
2010年以降のワールドカップは各大陸持ち回り、というルールをベースに、今回の南アフリカ大会が決まり、今後もそれが当然継続されていくものだと思っていたのだが、2014年のブラジル開催を決めた理事会で、大陸持ち回り制があっさり廃止されたのだそうである。つまり、大陸持ち回り制というお題目は、アフリカ大陸、続いて南米大陸での開催するための方便だったということで、今後は大陸持ち回りには縛られないで、開催地が決定する。
そういうことを知ってこの本に出ている「過去のワールドカップ」という表を眺めてみる。1930年の第1回ウルグアイ大会以降、イタリア、フランス、ブラジル、スイス、スウェーデン、チリ、イングランド、メキシコ、西ドイツ、アルゼンチン、スペイン、メキシコ、イタリア、アメリカ、フランス、日本・韓国、ドイツと来て、今回の南アフリカ、そしてブラジル。ここまでが決定している。
よく見ると、ヨーロッパではワールドカップは最低2回に1回開催されていて、今回の南アフリカ、ブラジルと続いて2回連続でヨーロッパ以外で開催されるというのは、歴史上、特別な事態。つまりどう考えてみても2018年はヨーロッパの国での開催なのである。
そんなことは常識です、と後藤さんに言われそうだが、サッカーライティングのスペシャリストである後藤さんの本は、改めて数えてみると「本の宇宙」に8冊もあった。
『世界サッカー紀行』(後藤健生/文藝春秋)
『2002年ワールドカップの真実』(後藤健生/実業之日本社)
『日本サッカー史 代表篇 日本代表の85年』(後藤健生/双葉社)
『日本サッカー史 日本 代表の90年』(後藤健生/双葉社)
『日本サッカー史 日本 代表の90年 資料編』(後藤健生/双葉社)
『日本ユース代表、サバンナを駆ける』(後藤健生/マガジンハウス)
『ワールドカップ』(後藤健生/中央公論社)
『ワールドカップの世紀』(後藤健生/文藝春秋)
こんなにあるので、もう1冊、と後から増やすのを躊躇ってしまったところがあって、後悔先に立たずである。
この経験を次に活かして、遅くとも4年後に再びこのような「宇宙」が展開できることを夢見て、これからも、日々、新たなサッカーの本に注目し、また楽しめる本をたくさん見つけていきたい。「蹴るサッカー」と同じくらい「読むサッカー」も楽しい。
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今回まで計29回にわたるブログは、針谷和昌が書かせて頂きました。この間、「文・社団法人 本の宇宙」としておりましたが、これはカフェのゼネラルプロデューサーであった私が、社団法人 本の宇宙 の代表でこのブログの執筆者でもあったため、ダブルことによる弊害を鑑みた結果です。ですので、記述に何らかの誤りがある場合も含め、これまでに掲載した ブログに関する責任はすべて私にあります。
文章は今回が最終回となります。追って後日、「サッカー 本の宇宙」全リストを掲載させて頂きます。どうもありがとうございました。
(文・社団法人 本の宇宙 針谷和昌)
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