
『誰も知らなかった 知って感じるフィギュアスケート観戦術』(荒川静香/朝日新書)
2006年トリノオリンピック女子フィギュアスケート金メダリストの荒川静香が、もうすぐそこへと迫ったソチオリンピックに向けてフィギュアスケートを詳しくわかりやすく解説した本。
なるほど、すべてを覚えてテレビ観戦しながら今の技は◎◎で何点、なんて言えるようにはなっていないけれど、この本を読んで観るレベルは格段にアップしたと思う。選手を始め、コーチや振付師のことも、だいぶわかったような気になる。
いちばん驚いたのは、ぴったりのスケート靴がなかなかない、ということ。靴が合わず痛い思いをしたり、フィットしない不安定さがあったり、右の靴と左の靴で違っていたり、しかも大量に売れるものではないので職人の数も少なく…と、とにかく大変そう。
オリンピックメダリストですら「靴に技を合わす」という苦労をしているそうで、そんなスポーツ他にあるだろうか。ちょっと違うかもしれないけれどカーレーシングぐらいか。靴にいかに上手く乗るか?靴の能力をいかに引き出すか?…これじゃあ本末転倒なんじゃないだろうか。
隙間産業を徹底的に追及した場合、フィギュアスケート靴メーカーというのは、その俎上に上がらないのだろうか。誰かやってくれないだろうか。そうしたらもっと華麗な演技をよりたくさん観ることができるようになるのに。
そういうことも含めて、思いのほかいろいろな発見があった。そしてこのパターンで、「体操」も「フェンシング」も「新体操」も「モーグル」も「ラグビー」も「柔道」も「ボクシング」も、なんだかんだでさまざまな競技ごとの観戦術シリーズが出せそうな気がする。こちらも何方かやってくれないだろうか。
(日々本 第322回 針谷和昌)
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