今度は「再起」ならぬ「再帰」という言葉が出て来ました。
『言葉の誕生を科学する』(小川洋子 岡ノ谷一夫/河出文庫)
…数えるというところから書き言葉が始まったというのはありうることだと思うんです。「数える」って何かと考えると、業界用語ではリカージョンと言いまして、「再帰」という概念があります。再帰という概念を、うまく言うのが難しいんですが、「ある操作をほどこした結果に同じ操作をほどこす」ということです…ということが「再帰」だそうで、これはまた「再起」とは違うもののようです。
さて、この本のテーマである言葉の始まりは何だったのでしょう?歌だったそうです。僕はなぜかラジオで喋りたくて、誰か出させて~とここ2年ぐらいことあるごとに言い続けて来たのですが、それが叶わないので、歌う方へ行きました。アカペラの始まりはそれです。なので、僕にとっては歌の始まりは「言葉を喋りたい」でした。
言葉は情動を乗せない道具として進化してきたんじゃないか?情動を乗せないことで他人を操作するものなのではないか?と、この本の中で岡ノ谷一夫 東大大学院教授は語っています。隠蔽のコミュニケーションとして言葉が進化していったのではないか?とも。
目は口ほどにものを言う、と言われていますが、実際、眼輪筋の一部は大脳皮質の制御を受けにくく、むしろ情動の中枢から制御を受けているそうです。口で嘘は言えても、目は嘘をつけないということですね。
「フェルミのパラドックス」というのがあるそうです。最近の惑星天文学によると、地球型の惑星は数百個もあるそうですが、どうしてそこから地球に偵察に来ないのだろうか?「言語を持ってしまうと滅びる」からというのが、このパラドックスのひとつの解なのだそうで、言語、原子力、滅亡という順番。う~ん…と考えてしまいますね。
(日々本 第316回 針谷和昌)
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