日々本 其の三百十「SFプロトタイピング」

『インテルの製品開発を支えるSFプロトタイピング』(ブライアン・デイビッド・ジョンソン/細谷功 選・監修/亜紀書房)

現在はSFだけれども、現実の科学技術をもとに10年後を描いた小説・映画・コミックには、未来をつくる力があって、それを実際に製品開発に使っているのがインテルだそうだ(インテルはタイトルには出てくるけれど、中身にはあまり出て来ない)。

お話をつくる、ということは、少なくとも構想力と執筆力がなければ出来ないことなのだけれど、さらに科学技術の知識が加わってSFプロトタイピングができる訳だから、実際にやろうとすると、かなりハードルは高いものだと思う。

ただこれからの世界を生きていく人たちにとって、これら3つの力は相当必要となるものだと思うから、今の学生たちに少しでもいいからトライしてみる機会があったらいいな、と思いながら読んだ。もともと今度そんな話をとある大学の先生とするので、読んでみた本である。

小説・映画・コミックによるSFの歴史もひもとかれているが、小説・映画はともかく、この本に出て来た例を見る限り、コミックはやはり日本の漫画が群を抜いていると感じる。漫画となると上記に加えて絵画力が加わって、さらにハードルが高くなるけれど、子どもの頃からレベルの高い漫画に触れ続けているわれわれには、最も合っている方法かもしれない。

果たして美大に、あるいはアニメーション学院などに、SFプロトタイピング学科ができる日は来るかなぁ。

日々本 第310回 針谷和昌)

hariya  2013年10月10日|ブログ