
『告白』(町田康/中央公論新社)
町田康を初めて読むにあたり、町田康を結構読んでいる読者にその代表作を聞いた。それがこの『告白」。8年半前に刊行されたこの長編小説は、実に676ページ。さすがにパワーが必要で、読後はグッタリ。“小説”は魂もパワーも奪われる、だからなかなか読まない、という自分の傾向の要因を、あらためて自分で実感した次第。最後までグイグイと惹き付けられ引っ張られるだけに、その疲労感も半端ではなかった。
「それ、熊太郎みたいじゃない」…今後の人生で僕が使いそうなフレーズ。主人公の熊太郎は、それほどインパクトが強かった。自分とは違うけれど、自分も考えそうな細かい悩みがたくさん出て来る。だからどんなに長くても読み続けてしまうのかもしれない。
初めて読んだ著者の印象としては、中島らもに近い。ノリは中島らもと同じで、ある種の音楽を聴いているような、そのリズムと音に乗っかっていくイメージ。でも中島らもより細かく論理的である。その辺りの塩梅が、癖になりそうなところでもあり、こんどはもっと短いものを、さらっと読んでみたい気がするが、さらっとは無理なのかもしれず、それはそれでまた魂を奪われても良いような気もしている。
(日々本 第299回 針谷和昌)
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