日々本 其の二百九十「考えすぎた人(笑)」

『考えすぎた人 お笑い哲学者列伝』(清水義範/新潮社)

ずーっと昔(20年前ぐらい)に読んだ『体に悪いことしてますか』(祥伝社)がかなり面白かったにもかかわらず、その後あまりこの著者の本は読んでいなかったのだけれど、新聞でこの本を見掛けて買ってきた。

『体に悪いことしてますか』の「体に悪いこと」とはスポーツのことで、みな健康になるためにスポーツをしているのに、上達して高いレベルへ行けば行くほど激しくなって怪我をしたり体を壊したりする、うる覚えだけれどそんな話だったと記憶している。今回もそのパターンで、哲学を逆手に取ってくれるものとの期待を高めつつ読み始める。

ソクラテス、プラトン、アリストテレス、デカルト、ルソー、カント、ヘーゲル、マルクス、ニーチェ、ハイデッガー、ウィトゲンシュタイン、サルトル。ぐんぐん読み進む。どれも面白く読めた証拠に、これらの登場人物に好意を抱いている自分に気づく。

ハイデッガーのところに「存在していることを理解している存在者、という意味で『現存在』と呼ぶことにしました」というセリフが出てくるけれど、意味はわからないけれど知識にはなる。そんなところもたくさんある。

清水義範、もっと読んでいい作家だと再認識。そしてこれをベースに、次にちゃんとした哲学の本を読むと、結構理解できるのではないかという気になってくる。タイミング良く、また新聞にこんな本の広告が出ていた。『1日で学び直す哲学』(幸田純生/光文社新書)。早速買って読み始める。

日々本 第290回 針谷和昌)

hariya  2013年8月31日|ブログ