日々本 其の二百八十七「猫俳」

『ねこはい』(南伸坊/青林工藝舎)

「世界初、猫が作った俳句絵本」とある。もちろん作者の南伸坊が俳句を書いているのだけれど、絵も描いている。その絵が味があって、俳句よりも絵でこの本を買いたくなった。

絵の猫は作者に似ている、のもある。だらっとしていたり、ぼーっとしていたりする猫がいい。俳句はちょっと気取っているのもあるけれど、「はととった こともあったな いまはむり」など、脱力系も多々あって、中でも僕はこの句がいちばん好きだ。

今回は猫だけれど、いぬはい、とりはい、うまはい、ぶたはい、ひつじはい、むしはい、うおはい、かえるはい、パンダはい…なんだか幾らでもできそうである。俳句がついてこなくても、そういう動物や生きものをほのぼのと描いた、作者の絵本シリーズは、きっと楽しいと思う。

日々本 第287回 針谷和昌)

hariya  2013年8月25日|ブログ