
『モネ、ゴッホ、ピカソも治した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事』(岩井希久子/美術出版社)
先ず表紙が綺麗だなと思う。モネの「睡蓮の池」。帯に隠れたところをもっと見てみたいと帯をはずそうとすると、帯とカバーが繋がっている。カバーの下の部分を折り返して、裏側が帯になっている。こんな本、初めて。新しいことに挑戦し続けている著者らしい装丁。
絵の修復家。とてつもない根気と集中力と持続力とセンスが要る仕事。写真もたくさん載っていて、こんなに痛んでいる絵が、こんなにも修復できるのか、という驚きに満ちている。
「必要最低限の修復をして、それをいかに保存するかが重要」と謙虚に言う著者にとっての天職と思えるし、他になかなかできる人はいないのではないだろうか。長女が跡を継ぐために勉強中だそうで、そうやって伝統芸能のように、継承していくべき職人芸のように思う。
装丁だけでもこの本を買う意味がある。写真とキャプションを眺めているだけでも意味がある。画家の作品集に勝るとも劣らない修復家の作品集である。
(日々本 第279回 針谷和昌)
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