『内田さんに聞いてみた「正しいオヤジ」になる方法』(内田樹vs.木村政雄/宝島社)
買ってはみたもののオヤジがオヤジ2人のオヤジに関する対談を読むというのもあまり美しいものではないという気がして、しばらく積ん読状態だった。それを引っ張り出して、毎日チビチビと読んでいるところ。
内田オヤジは神戸女学院大学名誉教授、凱風館館長、多田塾甲南合気会師範、合気道七段。木村オヤジは元 吉本興業(横山やすし・西川きよしマネージャー、常務取締役大阪本社代表)、有名塾塾長、5L編集長。
・「教育立国」というのは日本の生き延びる道…
・大学は教育機関であると同時に、研究機関であり、情報処理センターであり、図書館であり、体育施設であり、緑地であり…
・神社仏閣と同じで「大学のご利益」というのは数値的には考量できないもの…
・ビジネスマンには大学なんか経営できるはずがない…
・学校教育は収益事業じゃないんです。子供たちが成熟した市民に成長するのをどう支援するか。それが学校教育の目的であって、本来は「持ち出し」なんです…
・「施しの文化」というのがあって、世俗的に経済基盤を持っていない人たち、例えば宗教者や芸能人を、世俗社会に足場を持つ人たちが支援して生計を支え、その代わりに自分たちにはできない特殊なことをやってもらう。そういう支え合いの仕組み…
内田節がバンバン出てきて、う~む、なるほど、そーなのか、という感想を連発しながら読む。そして極めつけはこれ。どーやったらこういう発想が生まれるのか?斬新でよく考えられた説を、どうやったら導き出すことができるのか?内田オヤジの真骨頂ここにあり。
僕は自殺するところまで子供が追い詰められたのは、その子供自信がかつて一度「いじめを容認する立場」を取ってしまったことによって、自分に向けられたいじめを論理的にも倫理的にも押し戻す権利を失ってしまったという仕掛けのせいじゃないかと思っているんです。自分に理があると思ったら、人間は孤立無援でも、かなり長期にわたって抵抗することができます。でも、自分には正義を要求する権利がないのではないか……と思ってしまったら、もうふんばる足場がなくなる。今のいじめは子供たちを組織的にそういうところに追い詰める邪悪なメカニズムの結果のように僕には見えます。
(日々本 第270回 針谷和昌)
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