日々本 其の二百六十六「キングファーザー」

『ザ・キングファーザー』(田崎健太/KANZEN)

キング・カズの父、納谷宣雄。波瀾万丈の人生。それは、この本の目次を見ているだけでわかる。

俺の人生は一筋縄ではいかない
複雑過ぎる家庭環境。サッカーに取り憑かれた人生の始まり
二度の逮捕。ブラジルという選択肢
カズの源泉ブラジルと宣雄の商才
収監、そして殺し屋との出会い
宣雄を襲う病魔とアメリカW杯予選での審判買収未遂
留学ビジネスの実態
カズのいないワールドカップ
キングの父

サッカー日本代表が初出場したフランスワールドカップの初戦、アルゼンチン戦を著者はロサンゼルスで宣雄と共に見る。当時の宣雄の自宅でのTV観戦である。そこで驚くべき場面に遭遇する。

代表から外れた息子カズのポジションを奪ったのは城彰二である。TVに映るその城に向かって、カズの父は「城、行け」と応援するのである。息子が外れたことは悔しいけれど、そのずっと前から日本代表を応援していたから、ワールドカップに出たら応援するのは当たり前ではないかと言う。

並大抵のスケールではない。とてつもないサッカー好き。そんな父の影響を受けて育ったのが、キング・カズなのである。

日々本 第266回 針谷和昌)

hariya  2013年7月12日|ブログ