『アメリカンフットボールのルールとスコアのつけ方』(笹田英次 監修/毎日コミュニケーションズ)
アメリカンフットボールの本を読んだのは、『ブラインド・サイド』(マイケル・ルイス/武田ランダムハウスジャパン)というノンフィクション以来だと思う。そのまた前はさらにずっと昔で、『タッチ、タッチ、ダウン』(山際淳司/角川文庫)という小説だったと思う。
前者は当時日本のラグビーチーム・サントリーサンゴリアスに所属していた世界最多キャップ記録(139)保持者ジョージ・グレーガン選手が英語版を読んでいて、面白いと言っていたので日本語版が出てすぐに読んだ。後者は故・山際さんの数少ないというか徐々に書き始めた小説のひとつで、きっと長生きされていたらノンフィクションから小説へ移行していたのではないか、そして大小説家になっていたのではないかと思わせてくれる小説だった。
読み物としてアメリカンフットボールが面白いということは、このスポーツの作り方、即ちルールの作り方が良かったからなのではないだろうか。アルティメットスポーツとしてアメリカ人が考案したフットボールの“究極”たる所以は、そのルールにあるのだと思う。そう思いながらも、それがこの本を読んだ理由ではなく、仕事の関係で読んでみた訳であるが、ルールをつくった人の気持ちになって読んでみたので、新しいスポーツをつくるという楽しみを少しだけ味わえた気がする。
楽しみは味わえたけれど、これでルールが完璧にわかった、ということでもない。アメリカンフットボールのルールは難しい。体験したことがないから余計にそう感じるのだと思うし、30年以上前に、アメリカの大学のアメリカンフットボールの公式戦日本開催大会を運営していたにもかかわらず、アメリカンフットボールのルールを完全に把握している訳ではない。この7年間、たくさんの試合を見たラグビーについてもそうであるし、20年以上関わっているサッカーについても同じだ。僕にとってフットボールというのは、完全に把握することなく、何となくわかっているボールゲームなのである。
僕らの子どもの頃は、野球だった。その野球をやっていたけれど、10年も本格的にやっていた訳ではないのに、いまだに野球を夢中になってやったりしている。子どもの頃の経験は、人の人生に大きな影響を与えるというほど大袈裟なことではないけれど、それに近いことを自分も体現している気がする。
(日々本 第253回 針谷和昌)
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