トークイベントの情報を先に知り、チケットを購入してから本(『なめらかな社会とその敵』)を買ったので、トークイベントまでには絶対読もうと思っていたけれどなかなか捗らず、当日直前に読み終えた。しかも難しい数式のところは著者も飛ばしていいと書いてあったので飛ばし飛ばしで。
当日のイベントの冒頭、本を買った人?という問い掛けに3割ぐらいの人が手を挙げたように、比較的前の方の座席に座っていて前しか見ていない僕には思えた。ぜんぶ読んだ人?という質問には1割ぐらいだろうか。なるほど、皆やはり苦労したんだなとわかる。
目の前のステージ中央に著者・鈴木健がいる。その右横に、この本を強力に薦める文を書いた内田樹がいる。僕はそれを読んでイベントのチケットを買う気に、そしてこの本を読む気になった。その内田樹の本はたくさん読んでいるけれど、もともと内田樹の本を読み始めたのは高橋源一郎がこういう面白い本と著者がいると紹介していたのがきっかけ。その高橋源一郎の本はあまり読んでいないのが自分でも不思議。閑話休題。
内田樹はTVに出ないので、これだけ本を読んでいても本人を見るのも喋るのを聴くのも初めて。突然会って無言でいられたら怖い人だなという印象。しゃべると自分でもどこかで語っていたがオバサン的である。そして言葉がどんどん出てくるので、本で読んだそのものだなという感じ。
著者の鈴木健は、まさに学者という雰囲気。最近自分の周りにも何人かいるのだけれど、本物の学者の雰囲気を持った人が横にいるととても安心する。世界の法則をわかっている人が隣にいてくれる安心感。そういう人はしゃべりも穏やかでいて、ついつい聞き入ってしまう感じがある。こういう人たちが世の中に増えたら良いのになぁと思う。
そして司会の森田真生。見るからに秀才。頭の良さが言葉からあふれ出している。それが嫌みじゃなく見えるのは、ちょっと童顔で愛敬のある笑顔によるものではないか。この人には滅茶苦茶しゃべりが速い人とどんどん話して貰ったら、どこまで行きつくだろうか?とてつもなく高揚感あふれるトークイベントができそうな気がする。肩書は独立研究者となっていて専門は数学。
会場の紀伊國屋サザンシアターは紀伊國屋書店新宿南店の7階にある。この紀伊國屋書店新宿南店に初めて行ったけれど、また来て探検したくなるような大型書店。新宿駅南口自体、ちょっと新宿のイメージとは違っていて、今後結構、行く機会が多くなりそうな気がする。
(日々本 第245回 針谷和昌)
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