『なめらかな社会とその敵』(鈴木健/勁草書房)
難しい。でも最後まで読んだ。著者は、東京大学総合文化研究科特任研究員、(株)サルガッソー代表。
生命システム(オートポイエーシス)
内外を分ける幕のようなもの(単位体をジグ点する位相的領域)がないハイパーサイクルは生命ではない
情報システムがもたらす社会システムの進化の可能性は、まだほとんど開拓されていない
貨幣であると同時に世界規模の人事評価システム
静的で一貫し矛盾のないことを是とする世界観から、動的で変容し多様性にあふれることを是とする世界観へ
ある個体の細胞と別の個体の細胞が強く相互作用するようになれば、新しい知性のかたちが生み出されるかもしれない
腸内細菌叢は…消化器系だけでなく、免疫系への関与や、迷走神経系を通じて脳(大脳扁桃体)にアクセスし、気分や感情にまで影響を与えている
パーソナルコンピュータを「個人が動的にメディアを作るメディア」すなわちメタメディアと位置づけていた
読んでいてこれらに一応、アンダーラインを引っ張ってはみたものの、どこまで内容を理解しているか心許ない。それをわかりやすく解説してくれるのが著者が出てくるトークイベントなんだろうと期待していた。イベントについては次回書くけれど、その期待は叶わなかった。それはそれで楽しかったので良いのだが。
さてこの本と並行して『怒らない練習』(アルボムッレ・スマナサーラ/サンガ)を読み始めた。その冒頭の部分と、この『なめらかな社会とその敵』の最後の部分(下記)が、ちょっと似ている。
資源がかなり希少な時代においては、敵の概念を消し去るのは相当難しいということである
資源がそれほど希少でなくなったとしても、いったん敵の概念が生じてしまったならば、それを消し去るのは引き続き困難である
脳を研究する前野隆司教授の話も、仏教につながっていた。行き着くところは仏教、そんな予感がいよいよしてくる。
(日々本 第244回 針谷和昌)
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