『ライフスキル・フィットネス 自立のためのスポーツ教育』(吉田良治/岩波ジュニア新書)
「ライフスキル」って何だろう?…一言でいえば「生きる能力=自立する力」を意味します…って書いてある。そして「フィットネス」は…日本ではなじみが薄い「適性」という意味…で…自立するための適応能力…が、ライフスキル・フィットネスなのだそうだ。
アメリカではスポーツに卓越していても、プロになる確率はバスケット、アメリカンフットボール、ベースボールいずれも低く、一方、大学ではわれわれが思っている以上に、文武両道を義務づけられている。成績が悪ければ活動停止という内規が設けられていて、逆に優秀な成績を修めたアスリートの表彰システムもある。
このスポーツ文化は日本でも取り入れるべきだと思う。また大学スポーツのビジネス化も進んでいて、それは昔からなのだけれど、これも日本ではなかなか真似ができない規模。僕は30年以上前、NCAA(全米大学体育協会)のアメリカンフットボールやバスケットボールの公式戦を日本で開催するという仕事に携わっていたけれど、既にその頃、アメリカの大学スポーツは完全にビジネス化されていた。イベント、TV放送、商品化など、プロ並みというかプロ以上の部分もあったと思う。
この課題をクリアにするためには、日本になぜNCAAのような協力な推進組織ができないのか?から始めなければならないのかもしれない。既にそれは皆で論じている話かもしれないのだけれど、僕自身はその疑問に初めて思い至ったので、ちょっと調べてみようと思う。
大学アスリートたちはチーム単位で、小学校や中学校を訪問し、例えば絵本や本の読み聞かせを行っているという。“本の読み聞かせ”はどうやるのが効果的なのか?なぜアスリートが行うと良いのか?そのあたりもちょっと勉強してみようと思う。僕自身の本業とこの本の社団の活動と、何だか上手くマッチングできそうな予感がする。
アスリートたちはシーズン中でもこういう活動をするそうで、そのことからも真剣に取り組んでいるということが読み取れる。そうやってスポーツチームや団体の地域貢献活動が当たり前に行われていて、企業はそういう活動を応援するCSR活動を行っていて、「ニューウエーブ・マーケティング」と呼ばれているそうだ。
スポーツは競技だけではないという視点で、“スポーツの価値”を本気で発見し、理解し、定義して、方針を決めて、競技以外の活動をやってみる。そうすることが、結局は競技の価値も高めることに繋がっていくのだとすれば、すぐにでも始めなければと思う。“ジュニア”新書としておくには勿体ない、多くの大人に読んで欲しい本である。
(日々本 第243回 針谷和昌)
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