『世界の作家32人によるワールドカップ教室』
(マット・ウィエランド ショーン・ウィルシー 編/越川芳明 柳下毅一郎 監訳/白水社)
「サッカー 本の宇宙」では、本棚に並べてある本の帯は、その本の最初のページを上から挟む形で入れ込んである。『世界の作家32人によるワールドカップ教室』の帯には、こう書いてある。
「参戦32か国の素顔に触れ、観戦の愉しみ倍増! ニック・ホーンビィ(『ぼくのプレミア・ライフ』)、ロバート・クーヴァー(『ジェラルドのパー ティ』)、ティム・パークス(『狂熱のシーズン』)、ベン・ライス(『ポビーとディンガン』)をはじめ、世界的に有名な作家・ジャーナリストが、各国それ ぞれの「観戦の極意」を伝授する、《こだわり》のファン必修の特別講義。」
2006年5月発行、つまり「“ドイツワールドカップ”参戦32か国」にまつわる作家32人。必ずしもその 参戦国の作家やジャーナリストが書いているわけではない。例えば日本。書いているのは、ジム・フレデリック、『タイム』日本支局上席編集者。東京在住の筆 者は、野球にも触れながら、日本の社会、そしてサッカーを紹介している。
各国の紹介に共通していてユニークなのは、国全体について1頁、その国のサッカーについてもう1頁、データを表で紹介しているところだ。
国のデータについては、首都、独立(建国)、面積、人口、人口増加率、年齢中位数、出生率、人口移動率、幼児死亡率、平均寿命、民族、宗教、言語、識字 率、選挙権、兵役、GDP(一人当たり)、GDP実質成長率、失業率、物価上昇率、国家予算、軍事費、第一次産業(農業)、第二次・第三次産業(商工 業)、通貨。
これらのデータから、どんな特徴を持った国が大会で上位に行くか、など、2次、3次的に調べてみるのも面白い。
サッカーについては、サッカー協会、地域連盟(コンフェデレーション)、協会設立年、FIFA加盟年、愛称、監督、ホームページ、スタジアム、FIFAラ ンキング、ワールドカップ出場回数、ワールドカップ優勝回数、試合数、勝、引き分け、負、得点、失点、得失点差、勝点、ワールドカップ通算成績、そして 1930〜2002までの各大会の結果(不参加・棄権・地区予選敗退・予選グループ敗退・決勝トーナメント敗退など)。ちなみに、この時点での日本代表の 愛称は「ブルース」となっている。
こういう本は、毎大会出たら嬉しい。それも大会が始まる結構前に出て、大会までに読む時間が十分にあったらいいなと思う。
(文・社団法人 本の宇宙)
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