『プロ野球なんでもランキング ―「記録」と「数字」で野球を読み解く』(広尾晃/知的発見!BOOKS)
あったぁー!ずっと探していたものが。「本当の歴代打率ナンバーワンは誰だ?」。第一章第一項にいきなり出て来る。そうなのである。野球記録マニアだった僕は、打高投低の時の首位打者と投高打低の時の首位打者のどちらがより良い成績なのか、ずっと知りたくて、それを算出する方法がないのか?と思っていた。それはきっと統計学の筈だと考え、統計を勉強している人にも聞いたことがあるが、なかなか適切な答えが返ってこなかった。それを書いた本がないかなぁ、なければ最終的には自分で研究して書いてみようか、ぐらい思っていた。それがあったのである。
アメリカで開発された“TBA”という方式。True Batting Average の略だそうだけれど、「(選手の通算打率×0.252)÷選手の実働期間中のリーグ打率」で算出すると、それがわかるのである。0.252というのは日本プロ野球の全期間を通じた平均打率だそうだ。
ということで、この方式で計算して「シーズン最高打率、本当のトップは?」もわかるし、「シーズン最多本塁打、本当はこの打者!」も「プロ野球史上、最も足の速い選手は?」も、「針の穴も通す!コントロール王は俺だ!」も「名選手は何月生まれが多い?」もわかる。著者は『野球の記録で話したい』というサイトを毎日更新しているそうなので、そちらをじっくり読むのも楽しみだ。
さて、打率を比較するにはTBAを使うべきだと提唱したのが“記録の神様”故・宇佐美徹也氏だそうで、僕は以前この人の本を夢中で読んだ。
『プロ野球記録大鑑』(宇佐美徹也/講談社)
『ON記録の世界』(宇佐美徹也 編著/読売新聞社)
この2冊は僕の若い頃のバイブルだった。今住んでいる家の本棚にはないけれど、いつの時代にどこへ行ってしまったんだろう?あの頃の僕の気持ちが染み入っている本。探し出して、手に取って、またページをめくってみたいなぁ。久々に記録マニアの血が騒ぎ始めた。
(日々本 第230回 針谷和昌)
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