「サッカー本の宇宙」の約150冊の中に、1冊だけ漫画があります。
サッカー漫画と言えば『キャプテン翼』であることは誰もが認めるところだと思いますが、この文章を書いている私はいわゆる『キャプテン翼』世代とはだいぶ 年齢差があって、1968年に月2回誌として創刊した「少年ジャンプ」を創刊号から買って読んでいた世代です(『父の魂』とか『ハレンチ学園』とかを思い 出します)。そして「週刊少年ジャンプ」で『キャプテン翼』の連載が始まった1981年には既に社会人で、あまり漫画を読んでいませんでした。
われわれの世代では“サッカー漫画”と言えば『赤き血のイレブン』(1970年〜)でした。ちな みにこの漫画の主人公のモデルと言われているのは永井良和氏で、ジェフ市原(現 ジェフユナイテッド市原・千葉)の初代監督でもあります。ほかにもたくさんのサッカー漫画の名作はあると思いますし、『キャプテン翼』は今でも続いているのでキリがありません。そこで「漫画は『キャプテン翼』の第1巻だけ」と決めて、本棚に置きました。
本棚へ置く前に、初めて『キャプテン翼』を読みました。いきなりボールを追い掛ける幼児の翼くんが登場し、最初から目が離せません。とくに小学生の翼くん が初めてライバルに挑戦しにいくところで、リフティングしているボールに話かけるシーンが印象的です。主人公・翼くんの斬新なプレー、そして第1巻以降に はたくさんのスーパープレーシーンが出てくる訳ですが、作者の高橋陽一さんは SAMURAI BLUE CAFE のイベントの際に、「サッカーをよく知らなかったから常識にとらわれず考えられた」と語っていました。
読み始めたら止まりません。私は『巨人の星』世代なので野球少年だったんですが、この野球漫画の前に『キャプテン翼』に出会っていたら、少しばかり人生が 変わっていたかもしれないという気になります。漫画の力は偉大ですね。
(文・社団法人 本の宇宙)2010.06.20
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