『系統樹曼荼羅 チェイン・ツリー・ネットワーク』(三中信宏(文)+杉山久仁彦(図版)/NTT出版)
どーん!っと目に入ってくる。表紙とタイトルの「系統樹曼荼羅」。後づけで「2012紀伊国屋じんぶん大賞」のコーナーだとわかる。大賞の『哲学の起源』(柄谷行人/岩波書店)や2位『社会を変えるには』(小熊英二/講談社現代新書)、3位『ピダパン』(ダニエル・L.エヴェレット/みすず書房)、4位『独立国家のつくりかた』(坂口恭平/講談社現代新書)、5位『未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命』(片山杜秀/新潮選書)、6位『レッドアローとスターハウス―もうひとつの戦後思想史』(原武史/新潮社)、7位『東京プリズン』(赤坂真理/河出書房新社)、『魂にふれる』(若松英輔/トランスビュー)他が並んでいるが、9位にランキングされたこの本しか目に入らない。
どんな本か。「じんぶん大賞」社内選考委員の大矢靖之さんの推薦の言葉が、大賞を紹介している無料配布小冊子に載っている。「古今東西にみられる図像、系統樹とは、歴史的・思想的に深いルーツをもつものであり、多様な情報の記憶を助け、体系性を養うツールとして有用性を備えていた。系統樹という不可思議な図像を巡ることで、人間の営為の厚みと深みを体感させられる」。
以前、コンピュータ系の雑誌で高次元グラフィックスの図を見て以来、そんな未来的な図を企画書に使えないかなとずっと考えてきた。そういう図を企画書に使ったら、綺麗で、クールで、そして説得力があると思う。自分ではとうてい作れないから、誰か適任者はいないかなぁと主に学生を見ながら探しているのだけれど、なかなか見つからない。
この本には古いものから最新のものまで載っていて、古いものは手描きの良さを充分に伝えてくれているので、その辺りを学んで自分で描いてみるのも手かもしれない。知的アート、芸術的インテリジェンス、どちらでも好いけれど、次の時代の企画書は、ジャンルを問わずこれじゃないかなぁと思う。
(日々本 第213回 針谷和昌)
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