『ハンドブック』(江口宏志/学研)
カタログっぽいのできっと何度か目にしていたけれど見過ごしていたと思う。ある時「おやっ? これ重要な本じゃないか?」と感じて手に取ったらその通り。「ここにも居た」と思う。ここにも本のスペシャリストが居た。
松岡正剛、幅允孝の2人は、本の専門家として有名だけれど、ここに第三の人が登場した、という感じ。あくまでもそれは僕の中の感覚だけれど、3人目が登場して、その3人目がいちばん“ゆるく”て、ある意味“スタイリッシュ”であると感じる。たまたま自分が知らなかっただけで、本をセレクションしたり深く本に関わっている先達は、たくさんいるんだなぁと心強く思ったり、まだでも未開の地はあるよなぁと自分を勇気づけたり、そんな気持ちで読み続けた。
読んでいると、著者が『ユトレヒト』という本屋をやっているということがわかる。早速行ってみた。表参道を根津美術館の方へ歩いて行って、右側の2階というだいたいの目処をつけていたのだけれど、どこだかわからず。たまたま入ったカフェの店員さんに訊いてみると、「私もたまに行きます。『1LDK』っていう看板がある建物の2Fで、店名は出ていませんよ」と教えてくれた。ちなみに根津美術館の前のマンションの1Fにあるそのカフェは、コーヒーもケーキも美味しかった。
10/1は「写真集を贈る日」、4/23は「本を贈る記念日」であることを知ったり、紹介されている絵本『りゅうの目のなみだ』を昔読んだことを思い出したりしながら、僕が知らないだけで著者は大御所なんだなぁってことが、読む程にわかってきた。ヒントがいっぱい詰まった本。大御所たちが一同に会して本棚を競作したらきっと面白い、いつかそんなことをやってみたい、改めてそんな思いを強くしながら読み終えた。
(日々本 第208回 針谷和昌)
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