『自滅する人類』(坂口謙吾/B&Tブックス 日刊工業新聞社)
表紙にはタイトルの他に「分子生物学者が警告する100年後の地球」「人類滅亡までのカウントダウンは、すでに始まっています」というコピーが書かれている。量で勝負という感じ出し、危機を強調し過ぎているので、トンデモ本?と一瞬思う。でも著者の略歴を見ると東京理科大学総合研究機構教授だし、出版社は日刊工業新聞社だし、う~ん、読んでみるか、となった。
恐ろしいことが真面目に書いてある。分子生物学者が地球、生物、人類の歴史と進化を冷静に眺めると、こういう結論になるんだなぁと思う。人類滅亡はそんな先のことではなく、すでに“種の滅亡の最後段階”に入っているという。
人類滅亡を避けるためには、人口増加を静止させ、人類を支える素材を鉄や金属からバイオ素材へ変換し、エネルギーを石油・石炭から循環可能なエネルギー源に代え、新しい素材やエネルギーを用いたエンジンを開発し、農業生産を立体的に展開して、森林面積を増やし、自立できるシステムロボットを開発して高齢者を労働力に代え、大気中の炭酸ガスを吸収する工学システムを開発して、メタンハイドレード採掘による深海の生態系の破壊は絶対にやらない。著者はそう力説する。
数多くの変換と開発。大変だけれど、人類は本来それらを得意としているところではないのか?多くの人々が、地球環境問題どころでない人類滅亡問題を本気で考えることができれば、未来にはまだ少しの希望があると思う。
(日々本 第192回 針谷和昌)
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