日々本 其の百七十七「日本の選択」

『日本の選択 あなたはどちらを選びますか?』(池上彰/角川oneテーマ21)

NHK「週間こどもニュース」のキャスターになって、どうやったら子供たちにニュースが伝わるか、きっと著者は深く深く考えたんだと思う。その答えが、物事の始まりや本質に立ち戻って事象を見る、ということではないか。それは大人にも大変わかりやすく、この本も難しい問題を次から次へと原点に還りながらひもといてくれている。

消費税増税/社会保障/ものづくり/領土問題/日本維新の会/大学秋入学/教育委員会制度/原発/一票の格差/がれきの広域処理

そのどれもが何度も読み返すべき内容だけれど、僕として押さえておきたいところを書き出しておく。

・消費税税収10.2兆円、所得税13.5兆円、法人税9.3兆円(平成23年度)

・12年9月時点、震災義援金(世界~日本赤十字社等) 3607億円、災害弔意金550億円、被災者生活再建支援金1322億円

・被災地高速道路100%復旧、主要国道、ライフライン、公立学校もほぼ復旧

・まちづくり集団移転地域47%、土地区画整理決定地区28%、農地営農再開4割

・12年6月時点、水揚港108港(被災漁港319港のうち)、水揚げ量 岩手県:震災前の7割、宮城県:5割未満、福島県:3%、養殖業施設復旧5割以下

・水産加工業1000施設被災、再開5割、再開断念1割以上

やはり気になるのは、震災復興関連。そして原発。「エネルギーは戦略物資」で、「いま顕在化していないからといって、他のリスクがなくなったわけではありません。リスクは地震だけではないということを考慮して、原発をどうするのかを判断するべきでしょう」と著者は語っているが、[原発は最大リスクではないのか?]と僕はそこに書き込んだ。事後、事前、両方のリスク対応がなされなければ、安心して住める国にはならず、それは国民にとってとても不幸なことだと思う。

日々本 第177回 針谷和昌)

hariya  2013年1月05日|ブログ