『新しい資本主義 希望の大国・日本の可能性』(原丈人/PHP新書)
3年前に著者のセッションに参加する機会があり、その時に事前学習として読んだのは『21世紀の国富論』(平凡社)だったけれど、この本も当時出たばかりだったということを、奥付で知る。今回は店頭に平積みされていて、「新しい原さんの本だ!」と思って買って読み進み、途中でつい最近出た第四刷であることを、やはり奥付で知った。3年経っているのに、中身が新しい。著者の提案をフォローするのは、今からでも間に合うのではないか。そう思って自分に何ができるか考えている。
著者の本業はベンチャーキャピタリスト。デフタ・パートナーズ グループ会長。アライアンス・フォーラム財団代表理事。アメリカ共和党ビジネス・アドバイザーリー・カウンシル名誉共同議長、国連経済社会理事会常任諮問団IIMSAM特命全権大使、国連ONGWAFUNIF代表大使、日本国政府財務省参与、首相諮問機関政府税制調査会特別委員、産業構造審議会臨時委員、総務大臣ICT懇談会委員を歴任。通常の日本人のスケールを越えている。本人も、産官学すべての場面で活動している、という話をそのセッションの時に話されていた記憶がある。
多くのファンドは…人類が過去につくった資産の食いつぶしをやっていただけでしかなかった。……
基幹産業…の原動力となるものこそ、「コア技術」である。…産業革命…「エンジン」……IT産業…「TCP/IP」……
インフラが整っていない発展途上国は…最新の次世代技術を導入することが容易……テクノロジーで貧困の問題を解決していく……
…「おもしろくて」「採算も取れる」仕組みを展開したい。……
…日本について考えるならば、いかにエネルギー自給率を高めるかという問題…いまの時代ならば、社会インフラとして…太陽電池パネルをどんどん設置していけばよい……
…公益資本主義の指標として…「公平性」…「持続性」…「改良改善性」……
…社員が短期的な利益を会社から取ろうとしないで経営に参加していくのは、会社が小さい段階であることのほうが多かった。リーダー(CEOや創業者)の掲げる長期的なビジョンを信じ、みんなで目標を共有し、会社に貢献しよう、会社に尽くそうという熱意をもって参画していく。そしてそのような会社のほうが、むしろ社員個々人の幸福感も高い。……
重要なところに線を書き込もうと思ったら、全編線だらけになってしまうが、その中でもとくに僕がインパクトを感じた部分は上記である。最後の部分をとくに体にしみ込ませながら、新しい年に新しい可能性にチャレンジしてみようと思う。
(日々本 第174回 針谷和昌)
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