「サッカー 本の宇宙」には写真集も多いが、先ずそのうちの3冊をご紹介しよう。
『ボールの周辺』(近藤篤/日本放送出版協会)
『MAGNUMFOOTBALL』(MAGNUM/PHAIDON)
『DEL PIERO』(PHOTOGRAPHS BY GIANNI GIANSANTI/エクスナレッジ)
『ボールの周辺』は1人マグナムと言うか、後述するたくさんの写真家の作品を集めた『MAGNUMFOOTBALL』に、質と量の両面でひけをとらない、1人の日本人フォトグラファーによる写真集。
“Rome, Italy, 1990” の「トイレにいくのをわすれた男の子」と記された写真=その子のために父親が空いた透明プラスチックのカップを持ち、そこへ向かって子供がおしっこをして いるスタンドのひとこま=が微笑ましい。この写真、それをすべて立ったまま観戦中の周りの誰もが、まったく気にしていないところもさらにいい。
『MAGNUMFOOTBALL』は言わずと知れた写真家集団マグナムのサッカー写真集。世界の街中で、スタジアムで、ビーチで、空き地で、いろいろな国の人たちがサッカーをやっている写真や、応援している写真が満載。
どれもインパクト溢れるものだが、1962年のチリ・サンチャゴのスタジアムで多くの観客に混じって“観戦する”若き日のペレの写真と、1958年のリ オ・デ・ジャネイロのイパネマビーチの“ここは天国?”と思える写真が印象的。どちらもモノクロ。カラー写真もいいが、モノクロ写真には、イメージを増幅 する力がある。
『DEL PIERO』はイタリアを代表するフォワード、デル・ピエロ選手の写真集。公私にわたる数々の写真が、人間デル・ピエロを物語る。イタリア時代の中田英寿 選手との、ワイン倉庫とレストラン内での連続見開き写真、そしてその次の見開きではジダンがピザを切っていたりする。そういう展開が見ているこちらに、空 間だけでなく時間の経過も感じさせてくれる。
(文・社団法人 本の宇宙)2010.06.11
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