『監督・選手が変わってもなぜ強い? 北海道日本ハムファイターズのチーム戦略』(藤井純一/光文社新書)
著者はJリーグとプロ野球の両方の社長経験者。今のところ日本で唯一。第2号はとうぶん現れそうにない。そういう貴重な人が「…日本で…スポーツビジネスは…まだはっきりと、その形態は確立されていない“導入期”だと思います。」(p9)と語っているのだから、そういう仕事をやっている自分としても、よし、スポーツビジネスの確立を目指そう、と気合が入ったりする。
いまプロ野球は、他のスポーツに先駆けてやっていることが多い。おそらく巨人と日ハムが、その最先端を競っているのではないだろうか。日ハムはこんなことをやっている。
チケット自社販売/客層に合わせたシートの開発/シンデレラシート/ファミリーシート/クレド/二軍専用マスコットキャラクター/居住地・勤務先エリア日替1,500円/715チケット/レディースデー/乙女の祭典/ボール乙女/乙女グラウンドキーパー(おやじ版あり)/乙女ヒーローインタビュー/ホームラン乙女/乙女国家斉唱/乙女と選手の記念撮影/母&子ベースランニング/乙女スターハイタッチ/YMCA乙女(おやじ版あり)/テ・キーラダンス乙女/KONKATSUシート/メンズ&シニアデー(火曜半額)/レディース&学生デー(水曜半額)/ファンクラブデー(木曜半額)/ベースボールオペレーションシステム etc.
そしてスポーツビジネスをやっていく上で、とても参考になる話が続く。
「…スポーツそのものを見たいという“観客側”の需要…」(p20)「スポーツビジネスで大切なのは、一時的なブームによる収入増ではなく、安定的、継続的な収入…」(p49)「…観客の中には1000円以上支払ってもよりよい席に座りたい、と思っている人が少なからずいる…」(p50)「…無料券の配布を3%以下に抑え…意味のある無料券なら、問題ありません」(p85)「ファイターズの親会社日本ハムの売上は、1961年…約24億円…同業のプリマハムの売上は約48億…球団をもった日本ハムの売上は、2009年には…約1兆円、プリマハムは約2500億円…」(p100-101)「…自転車で20分の距離を額に汗して走り回れば、そこにスポンサーを見つけることは可能…」(p132)
先日栗山監督の本を読んで、日々本 其の百五十「覚悟」に、栗山監督は「GMをやったらもっと面白い、そう感じさせてくれる数少ない監督」と書いたけれど、「…本当はGMでチームに入って欲しかったというのが本音です」(P168)と書いてある。意見が一致して、嬉しい。次回はぜひ、セレッソ大阪社長時代の話も含めて、スポーツビジネスの総論を語ってほしい。
(日々本 第167回 針谷和昌)
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