『「精密力」~日本再生のヒント~』(眞鍋政義/主婦の友新書)
「全日本女子バレー32年ぶりメダル獲得の秘密」とサブタイトルにある。このメダルは去年の世界選手権銅メダルのことで、つまり今年のロンドンオリンピックの1年以上前に出た本である。女子バレーはロンドンで「オリンピック28年ぶりメダル獲得」を達成して、眞鍋監督の株は更に上がり、引き続き全日本女子バレー監督として采配をふるうことになった。
店頭にはやはりオリンピック前の本(でもこの本よりは最近出た本)で眞鍋監督が書いた本がもう1冊あったけれど、おそらく今回のオリンピックの活躍で今後少なくとももう1冊出るだろうから、それなら一番最初の本を先ず読んでおこうと、こちらを選んだ。
・世界選手権で応援してくださったファンのみなさん、関係者各位にこの場を借りてお礼申し上げます。同時にこの本を買ってくださって、これから日本バレーを応援してくださるだろう読者のみなさんにも(笑)。
・私は全日本女子バレーボールチームの代表監督を務めている眞鍋政義です。
こんな序章は初めて読んだけれど、眞鍋監督の人柄がよく表れている導入部だと思う。この柔らかさとその裏にある芯の強さが、この人の真骨頂のような気がする。全日本女子バレーが世界の最先端を行っているということが、丁寧でわかりやすい歴代のバレー戦術の紹介を含めた解説でよくわかるし、そこが芯を感じた部分でもある。
バックアタック戦術—→2人サーブレシーブ制—→バンチリードブロック—→速いサイド攻撃—→2m台の選手を揃える—→総合力
この本を読んで、他のスポーツももっと戦術をわかったら、さらに面白くなるだろうということに気がついた。手始めにラグビーの戦術本を読んでみたい。ラグビーもあまり戦術を気にせずに、でも多くの試合を見てきた競技である。バレー同様、ありそうでないのが、ラグビーの戦術本ではないだろうか。
(日々本 第165回 針谷和昌)
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