『最高の自分を鍛えるチームの力』(平井伯昌/マガジンハウス)
TV観戦したロンドンオリンピックで、僕自身が最も心動かされた幾つかのシーンのうちの2つが水泳で、女子400mメドレーリレーと男子400mメドレーリレーだった。
それぞれが100mずつ、それぞれの種目でそれぞれの役割を果たして繋げるリレー。水泳は個人種目なのに、強力な“チームワーク”があって、そこが僕の心に響いた。
シドニーオリンピック前、当時の古橋広之進 水泳連盟会長が「水泳は団体競技」と言った時には、なんで?と思ったけれど、今回初めて、その通りだなぁと思った。12年越しの納得。なぜ水泳日本代表チームはチームワークが良かったのか?その答えがこの本にある。
・オリンピックは勝負をする場所で楽しむ場所ではない
・大きな大会になるほど、メンタル面のケアはコーチの重要な仕事
・オリンピックや世界選手権といった大舞台での真剣勝負で金メダルを取るのには、勝負師に徹することも必要
・400mメドレーリレーはその国の競泳の総合力が問われる重要な種目
・つねに相手を讃える康介(北島選手)
・ストレスはみんなと同じように加わっていてもそれを上手に散らす
・結局人に勝つのではなく、自分に勝つことが大事
・世界のトップレベルで戦うには、短所を克服する必要がある
・ティーチングのときに鍛えられるのは忍耐力、コーチングの過程では質を追求してすごく集中しないとできない練習で細かい技術を身につけていく
・やる気や意欲を引き出すきっかけの一つは、小さな成功を見つけてあげること
・客観的な評価がで出ていない選手をフォローするのは、コーチの主観的な評価
・愛情の反対は無関心
・調子が出ないときはカラダに対して正しい刺激が入っていない
・望んだようにならなくても、当初掲げた目標を下げない覚悟
・日本人は組織作りが上手で組織として機能すると強味を発揮
・チームプレーや組織の力を重視するあまり、突出した人間を認めようとしない風潮が日本にはあり、それが傑出したスイマーが出てこない原因の一つ
・これから日本が世界で戦うために求められるのは個の力をより伸ばすようなチーム力や組織作り
平井監督も、先日読んだ栗山監督も、成功した監督のひとりである。そして両者の本から共通して感じたことがある。それは「監督のGM化」。言い換えれば、現代の監督が勝つためにしなければならない準備の範囲が拡がって、GM的な資質を持っていることが“勝つ”監督の必須条件になってきているのではないか。
それは選手時代の実績とはまったく別のところにあるから、モウリーニョ(現代サッカーの名監督の1人/三流選手(本人談だそうだ)~通訳~アシスタントコーチ~監督)のような監督が日本にも生まれてくる時代が、そろそろやってくるのではないだろうか。
(日々本 第152回 針谷和昌)
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