突然ベストセラー作家になった人、孫崎享(まごさきうける)。前にご紹介した『戦後史の正体』(創元社)がいろいろな書店で売上No.1となり、新刊『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)も平積みされている。そんな急なブームの中、去年の5月に初版が出たこの本が、今年の9月に六刷となり店頭に並ぶ。
『日本の国境問題 ―尖閣・竹島・北方領土』(孫崎享/ちくま新書)
ベストセラーになるのは当然と言えるぐらいこの人の本は読みやすい。『戦後史の正体』もそうだったが、この本もこの中国、韓国、ロシアとの難しい問題のポイントがよくわかる。よくわかると、なかなか簡単な話ではないことが、よくわかる。
1943年旧満州国鞍山生まれ、66年東京大学法学部中退、外務省入省。英・米・ソ連・イラク・カナダ駐在、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。防衛大学教授(公共政策学科長、人文社会学群長)を経て、09年に定年退官。
こういう経歴の人が、前にも書いたけれど、「情理を尽くして語る読み手に対する敬意」を持って書いた(だろう)本は、当然面白くなる。この勢いは、当分続くのではないかと思う。
(日々本 第139回 針谷和昌)
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