『オワ婚』(柴崎竜人/幻冬舎)
出版記念会へ行って、受付で参加料を払うとこの本をプレゼントされた。作家が忙しそうなので暫く座っていようかと腰掛けた席の前にいた2人連れの女性が相手をしてくれて、だんだん話に熱中してしばらく話し込んでいるところに、作家と共通の友人が芸能人を連れてきて加わり、そこにようやく作家も加わる。作家と2人連れの女性は最近流行の街コンで知り合ったとのことだが、話していると作家のファンだということがわかる。
あまり長居はせずに作家に本にメッセージ付きのサインをしてもらって帰り、この本はもう少し経ったら読もうと思って本棚に置いておいたら、作家と1週間もしないうちに会った時に「読んでください」と言われた。かなり真剣に「感想を聞きたい」と言われたので、それから2日目の夜に読み終えた。
作家のサービス精神が細部にも詰まっていて、とてつもなく中身の濃いエンタテイメント小説。さらにこの作家の他の作品同様、終盤のドライブ感がたまらない。後輩であり友人であるこの作家との付き合いは10年になるが、少なくとも彼は作家としても個人としても性善説をベースにしていると僕は思う。
以上の(さらにもう少し詳しい)感想に加えて、次にはエンタテイメントではなく、素朴な感じで派手さはないけれど心に滲みる、心に響く物語を読みたいとリクエストしてみた。適当な比喩が見つからないのでちょっと違うかもしれないが、『勝手にシンドバット』の世界は堪能したので、ぜひ『いとしのエリー』も聴かせて、というところである。今の僕がたまたまそういうものを望んでいるということもあるけれど…。
(日々本 第107回 針谷和昌)
追記)出版記念会を開いた街の有名書店では、売上1位にランクされたそうです。おめでとう!
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