毎週、毎隔週、毎月、ずっと買っていた雑誌が何冊かある。創刊号から毎号買い続けていた雑誌もある。いつ頃からか、それをやめてみたら、何だか気持ちが楽になった。そんないま、必ず買っているのは『サッカー批評』(季刊/双葉社)ぐらい。必ず(髪を切りに行って)読んでいるのも『pen』(月2回/阪急コミュニケーションズ)ぐらい。そして最近、買う機会が増えたのがこの雑誌。
『SIGHT』(季刊/rockin’on)
「リベラルに世界を読む 渋谷陽一責任編集」と表紙のタイトルのすぐ横に入っている。最新「2012 SUMMER」号のテーマは「食べられないのか?住めないのか?—語られない内部被爆と除染の『本当』」。
巻末で紹介されているバックナンバーのテーマを見てみると、それまで政治のテーマが多かった『SIGHT』は3.11以降、「自民・東電・メディアが作った原発日本」「私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。」「原発報道を終わらせようとしているのは誰だ」「3.11から1年。この国ではなぜ誰も罰せられないのか」という特集が続き、今号に至る。
そうなのである。原発事故の最新状況は、TV、新聞、ほか様々なメディアがこれだけあるのに、あまりよくわからず、情報を得ようとすると、自然とこの雑誌に行き着く。
今中哲二(京都大学原子炉実験所 助教)
「『住める住めないは自分で決めるしかない』という事実に、我々はどう向き合えばよいのか」
石田葉月(福島大学共生システム理工学類准教授/「福島大学原発災害支援フォーラム(FGF)」メンバー)
「今、福島で暮らす人々の間に、どんな問題があるのか」
植松光夫(東京大学大気海洋研究所教授)
「日本の海洋汚染の本当は、どうなっているのか」
浦島充佳(小児科医/東京慈恵会医科大学分子疫学研究室室長・准教授)
「小児科医は『福島の放射線被害』をどう見ているのか」
上昌広(東京大学医科学研究所特任教授)
「内部被爆は防げるのか、下げられるのか」
山内知也(神戸大学大学院海事科学研究科教授)
「究極的には、除染は可能なのか、不可能なのか」
菊池誠(大阪大学サイバーメディアセンター教授)
「科学はこの現状に対して明確な説明をできるのか」
どれも読み込んだ。さらにこの雑誌のひとつの目玉である「連載対談」がある。
内田樹(哲学者・神戸女学院大学名誉教授/武道家・凱風館館長)×高橋源一郎(文芸評論家/作家/明治学院大学教授)
「今、日本を覆い尽くしているのは『反知性主義』だ」
もっと原発の現状を、福島の今を、発信するメディアがあっていい。あるいは『SIGHT』が年4回発行のペースを上げて、年6回(隔月刊)あるいは年12回(月刊)で出してくれてもいい。どうしたら増えるだろうか。
(日々本 第106回 針谷和昌)
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