サッカー 本の宇宙 vol.7『球の仕業』

『球の仕業』(日比野克彦/淡交社)

フランスのトゥールーズ、宿泊していたホテルのロビーに部屋から降りていくと、何やら知った顔の日本人がチェックインしている。日比野克彦さん。ちょうど12年前、日本代表が初めてワールドカップに出場し、その第1戦を迎える2日前ぐらいのことだ。日比野さんとは仕事を通じてその時点でも十年来の知り合い。試合日には座席は違ったけれども一緒にスタジアムまでバスで行き、試合(アルゼンチン戦)後の街中での飲み会も、お互いの知り合いを巻き込みながら合流した。日比野さんは人の輪を広げる。

この本は、そんなワールドカップに先立つこと約1カ月半前に出た本。アーティストの日比野さんらしく、淡交社という芸術関連(茶道、京都関連)の出版社の発行。日比野さんのサッカーに関連する作品や、エッセイが集められた本である。

このワールドカープ フランス大会の数年後、日比野さんとフットサル大会を企画したことがある。ボールを2つ使うフットサル、3つ使うフットサル、ビッグボールを使うフットサル、お面を被る(=視界がかなり遮られる)フットサルなどなど、いろいろな形のゲームを行って、参加者にも好評だった。そんな“自由”なサッカーの遊び心が、この本にはいっぱい詰まっている。

12年前の本なので、本の最後に載っている日比野さんの写真は若い。若さで言えば、帯に登場している岡田武史監督の写真もさらに若い。「男性はいいわよね。歳を重ねるとどんどんいい顔になっていく。ずるい」と、別にこの本を読みながら話していた訳ではないが、とある女性がとある日、カフェでつぶやいていた。

(文・社団法人 本の宇宙)2010.05.17

hariya  2010年6月20日|データベース, ブログ