ちょっと図を描いてみた。
何を表しているかというと、僕の仕事の進め方。いくつかの仕事を同時に進めていく時に、例えば今日、白い線の仕事を進めていてあるところまで来たら一旦終え、赤い線の仕事の3日前に終えた部分のあとをやり始めてまた終える、そして次に青い線の仕事の2日前までやったところからの続きをやる…(以下、黄色、緑も同様)緑の線の仕事をさっき一旦終えて、次にさて赤へ行くか白へ行くか…そんな感じで仕事している。
実は本もこれと同じ読み方をしていて、今の話を読書に置き換えてみても通じる話。同時に何冊かを読んでいる、ということは、こういうことであり、本の方が例としてはわかりやすいかもしれない。さて、年齢とともにこのやり方に問題が出てくる。それは何か?
若いころは白から3日前の赤いポイントへ意識が移った瞬間に、そこまでの赤い線がどういう状況でどこまでやってきたかがわかり、すぐ次の段取り、つまりポイントから左側へと進んでいくことができる。ところが年齢とともに、赤いポイントへ行ってみると、あれ?どこまで何をやっていたんだっけ?ということが段々と出てくる。最初はたまに、歳とともに頻繁に。
本であれば、栞が入っているところをいきなり読んでも脈絡がすぐにわからないことが多く、少し前へ戻ってもう一度読み直してみるということが多くなってくる。比較的読み始めの本だと、遡っていくうちに、えぇぃ、もう1回最初から読み直そう、というケースも出てくる。仕事でも読書でも、圧倒的に記憶力が弱体化してきているのである。
さて読書の方はまだいいとしても、仕事の方は効率が悪い。それでメモをより多くしたり、なるべく間をおかずにその流れに触れて思い出したり、ということが対応策になってくるのだが、例えば企画という仕事は、一定時間テーマを寝かして考えないとよいものを構築できないという特性もあったりする。
以前読んだスリランカの高僧スマナサーラの本に、悟りを開いたお坊さんが毎日同じ話を聞いて同じ箇所で笑う、というエピソードが書いてあった。つまり過去のことは忘れ去り、毎日毎時、その瞬間に新しいものを感じ取っているということなのだが、仕事をしている間は悟らない方が良いだろう。
これらの忘却に対して、まだこれといった対応策の名案が出てきていない。それを見つけ出すことができたら、またこの欄でご報告したい。
(日々本 第90回 針谷和昌)
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