『宮本式・ワンランク上のサッカー観戦術』(宮本恒靖/朝日新書)
宮本恒靖の最新刊。「ボールを持たない88分間の動きに注目」「ボールを観るな ゾーンを観ろ!」と、選手目線のサッカーの観方を教えてくれる本。自ら描いた解説図の横、ネクタイをしてシャツを腕まくりした宮本氏の写真を見て、この人の“教室”を体験してみたいという願望が大きくなる。チャンスがあったら本人に訊いてみたいことがたくさんある。
「自分の中での日本代表のベストゲームは、2002年ワールドカップのロシア戦です」(p27)
確かこの試合で宮本選手はゾーン(超集中状態)に入ったのではなかったか。雑誌の記事で読んだ気がする。チームスポーツでゾーンに入るとは、どんな感じなのだろうか?
遠藤保仁選手が高いレベルにある例として「やめる判断」「やめる技術」を挙げている(p49)。判断力もそうだが、技術力も超高度なものがないと出来ないことだと思う。これは練習出来るのか?
「もちろん、ある程度の約束事は大事です。でも指示待ちばかりでもいけない。実は日本の選手は、いまでもそこから先に行けていない気もするのです」(p117)
そこから先に行くためには、解決策を選手1人1人が考えて体得していくこと、海外の経験を積んでキャパシティーを大きくしていくこと(p118-119)に加えて、必要なことは何だろうか?
「僕自身は、現役時代から選手のコメントやインタビューを聞いたり読んだりするのが好きでした」(p139)という宮本氏が、今後FIFA大学院に留学して「まず、イギリスのレスターでスポーツ学の歴史と哲学を学び、続いてイタリアのミラノに渡りスポーツ組織論・ビジネス論、最後にスイスのニューシャテルでスポーツと法律を学ぶ予定」(P180)という。
サッカーを書く人、サッカーを語る人、サッカーを教える人、サッカーチームを率いる人、サッカー選手を育てる人、サッカーをオーガナイズする人、そのいずれのジャンルでも活躍が期待出来る人は、そう多くない。本人の方向性はどこへ?才能豊かな宮本氏には、欲張ってそのすべてをやっていってほしいと思う。
(日々本 第88回 針谷和昌)
追記)宮本氏が触れていた選手で、国内ではMF山口蛍選手(セレッソ大阪/P132~)、国外ではMFジャック・ウィルシャー選手(アーセナル/P173~)に今後注目してみたいと思います。
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