カフェのメディア向けのオープニングイベントで司会をしていただいた山本浩さんと事前に打ち合わせていて、カフェの概要を説明する中で「サッカー 本の宇宙」についてお話しした。すると、山本さんは即座に問い掛けてきた。
「その中に『フットボールの犬』は、ありますか?」
「宇都宮徹壱さんの本では『サポーター新世紀』は入ってますけれど、それはありません」
「あの本は、“自分”の力だけで書かれた本で、ほかの人の力を使っていません」
だから置くべきだ、というようなことはもちろん山本さんは言わないのだが、その打ち合わせの後、すぐに購入して読んでみた。そして、オープニングの日には、本棚の中にしっかりと並べた。
『サポーター新世紀』(宇都宮徹壱/勁草書房)
先ず、最初からリストアップしていた『サポーター新世紀』は、フランスワールドカップ(1998年)の現地サポーターを追いかけた本。「昨夜あなたはどんな夢を見ましたか?」という質問から始まって、最後の「日本(のフットボール)に対するイメージは?」まで、いろいろな国のサポーターへの11問のQ&Aが、右頁にそのサポーターの写真、左頁にQ&Aシートという形で見開きで並んでいる。さらに左頁にはそのサポーターの国籍や年齢、職業、宗教、そして名前といつどこでインタビューしたかが掲載されている。
いろいろな国のサポーターと書いたが、具体的にはチュニジア、スコットランド、サウジアラビア、南アフリカ、オーストリア、モロッコ、コロンビア、ブルガリア、イラン、韓国、アメリカ、スペイン、ジャマイカ、ベルギー、カメルーン、日本、チリ、ノルウェー、ユーゴスラヴィア、パラグアイ、ルーマニア、メキシコ、ナイジェリア、イングランド、アルゼンチン、イタリア、ドイツ、デンマーク、オランダ、クロアチア、ブラジル、フランス…大会出場全32ヵ国のサポーターすべてである。
それ以外に、というかそれよりも多くの頁をさいて、数多くの写真や大会中のルポがおさめられている。巻頭のみカラーだけれど、その他の写真がすべてモノクロなのも、色に惑わされずに本質が見えてくる気になる。
『フットボールの犬』(宇都宮徹壱/東邦出版)
こちらは、スコットランド、アイルランド、ポーランド、ユーゴスラヴィア、イタリア、オランダ、フェロー諸島、エストニア、トルコ、ウクライナ、スイス/トルコ、旧DDR、クロアチア、シチリア、マルタ、ロシアへの“ヨーロッパへのサッカー10年”が結実した紀行集。
イタリア時代の中田英寿も含めて、いろいろ国の選手や監督、メディアを含めたサッカー関係者が登場するが、山本さんの言葉通り、“宇都宮徹壱”そのものが、どの紀行にもあふれている。「あとがき」に書かれている著者のいわゆる“人生の岐路”の話が印象深い。
(文・社団法人 本の宇宙)2010.05.11
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