『for someone 3.11 22のメッセージ』
(ジャンプ改 VOL.9 特別付録小冊子/集英社)
漫画雑誌の付録に惹かれて、ひさびさに青年漫画誌というものを買った。ずっと昔は毎週「ビックコミックスピリッツ」を買っていたけれど、子どもが大きくなるに連れていつの間にかやめた。いわゆる教育的配慮だったと思う。
さて、この不思議なタイトルの漫画誌の付録本には、22人の漫画家の「3.11」に関する漫画や文章が載っている。その漫画家たちはこんな顔ぶれだ。
藤原新也(題字含)/浦沢直樹/東村アキコ/花沢健吾/ヤマザキマリコ/吉本浩二/石田敦子/岩岡ヒサエ/中島あつき/陽気碑/谷川史子/今日マチ子/武富健治/月子/市橋俊介/モニカ・アルフレッドソン/保谷伸/元町夏央/阿部川キネコ/三田紀房/冲方丁/石川優吾
この中で知っているのは、さすが最近読んでいないだけあって、浦沢直樹と藤原新也だけ。藤原新也は漫画家でなく作家であり写真家。
22人のうち、宮城県出身者4人、外国人だけれど在住者1人、岩手県出身2人。被災地に関係のあるなしに関わらず、大震災を目のあたりにして、自分に何ができるのかとそれぞれの漫画家が問い掛けた様子が、漫画や文章から滲み出てくる。体験したままを描いている漫画家も多い。
その後、彼らは漫画を描き続ける。何か特別なことをした訳ではなさそう。漫画家が漫画を描き続ける。そのことだけで充分な気がする。
(日々本 第52回 針谷和昌)
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