しばらく前 新聞に、野球を中心としたスポーツ本がたくさん置いてあった野球場近くの本屋が閉店になると出ていた。昔は結構 通ったな、残念だなぁと思っていたが、先日その前を通ってみたら新しい書店がオープンしている。入ってすぐ見つけたのがこの本。
『who’s who in BASEBALL 2012』(Editor:Pete Palmer/Who’s Who in Baseball Magazine Co., Inc.)
レジで「いつオープンしたんですか?」と訊いたら「今日です」。根拠はないけれど縁起がいい感じ。お店を出て振り返ると看板には店名の横に「文系野球の聖地」とある。なるほど、前のお店をすっかり受け継いだ訳である。
僕がこの本を初めて買ったのが1975年。それから毎年購入していったのだけれど、引越の時にどうするかと考え、先ず最初の引越の時にいちばん初めに買った75年版だけとっておいて、とうとう次の引越の時にそれも処分した。そのことを今回久々にこの本を買ってみて思い出した。処分して後悔しているのは、この時のこの本と、お爺ちゃんに東京オリンピック記念だともらってずっととっておいたのだけれど、大学ぐらいの時だったかエイヤッと処分したフェンシングの人形。どちらも処分することなかったのになぁと、悔やまれるのでよく覚えているのだと思う。
今から37年前は、メジャーリーグの情報など殆どなく、全選手の毎年の記録が細かく並んでいるこの本を、じっと読み込んでいた。もうひとつ『Baseball Digest』という月刊誌(確か)があって、それも毎号買っていたと思う。とにかく情報が少なくて、手に入れることの僅かな情報から精一杯イメージを膨らませていた。本に並んでいる数字は、単なる数の羅列でなく、その数字の意味するところを何度も何度も考えた。ある種、夢のような一時だった。
さて、この本は “OUR 97th YEAR” と表紙にうたっているが、つまりもうすぐ創刊100年を迎える。せっかくの縁なので、そこまでまた買い続けようかなと思う。日本人選手が出ている『who’s who in BASEBALL』なんて、あの頃はまったく考えられなかった。これまた夢のような時代だし、そんな時代がずっと続いてほしいなと思う。
(日々本 第49回 針谷和昌)
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