日々本 其の四十六「寿」

朝日新聞夕刊連載マンガ『地球防衛家のヒトビト』はとてつもない確率で面白い。よくネタが尽きないものだと感心するが、そこが作者しりあがり寿の天才たるゆえん。そのしりあがり氏が3/11後に大震災関連を素材に描いたマンガ集がこの本。

『あの日からのマンガ』(しりあがり寿/エンターブレイン)

四コマ漫画である『地球防衛家のヒトビト』の数話が巻頭に収められ、その中には新聞で読んだ時も爆笑、あらためて今回読んでも爆笑、という停電のマンガがある。……読んでのお楽しみ その1

続いてストーリー漫画「海辺の町」。こちらは少しだけファンタジーが、と思いながら読んで行くと、最後の1ページが秀逸。モノクロなのに色や光が見えてくる感じ。……読んでのお楽しみ その2

再び『地球防衛家のヒトビト』が出て来たり、中編が続いたりするのだが、その次に登場する「希望」というタイトル文字に×がついてタイトルのストーリー漫画。ぜんぶで16ページもので、14ページまで来たところで、「え”~~っ! こーくるのかぁ!!」と思わず大声が出てしまう。漫画を読んでてこんな大きな声を出したのは生まれて初めて。それぐらいとてつもない衝撃。……読んでのお楽しみ その3

いかだで川を流れる双子のおじさんの漫画も幾つか出て来て、これはこれでかなり好い味を出している。……読んでのお楽しみ その4

いずれも、震災の捉え方に風穴を開けるというか、震災で閉じてしまった心を開いてくれる漫画。天才のなせる技である。

日々本 第46回 針谷和昌)

hariya  2012年3月21日|ブログ