日々本 其の四十五「科学論」

大震災から1年を翌日に控えた日経新聞の夕刊に「科学者と社会 池内了さんに聞く」というインタビュー記事が載っていた。科学者が研究費欲しさに政府やスポンサーばかり見て、納税者という本来のスポンサー、市民の顔を見て語ってこなかった、と語っている。ハッとする。われわれは仕事をする上でスポンサーの意見を尊重する。いや、尊重するというと現実よりだいぶ控えめになってしまう。スポンサーの意向をくんでスポンサーオリエンテッドなものを作りだそうと努力する。何にもましてスポンサー第一である。

一般の人たちが何を望んでいるか?何を知っていてさらに何を欲しているか?あるいは何を知らなくて何を知るとさらに良くなるか?例えばスポーツでいえば、ファンはどんな情報を望んでいるかなどを知り、踏まえた上でスポンサーに提案しているということはもちろん意識し、また自負していたが、一般の人たちやファンが、本来のスポンサーという意識は希薄だった。そこにハッとさせられた。

池内了、いけうちさとる、宇宙物理学者、名古屋大名誉教授、1944年生まれ、著書は宇宙論のほか『科学者心得帳』『科学の落とし穴』『科学・技術と社会』など、と紹介されてる。“Booklog” で調べてみると、著書はさらにたくさん出てきた。

『科学と人間の不協和音』(角川oneテーマ21)

『物理学と原理の法則』(PHPサイエンス・ワールド新書)

『疑似科学入門』(岩波新書)

『物理学と神』(集英社新書)

『観測的宇宙論への招待 宇宙はいかに解明されてきたか』(日経BP社)

『娘と話す 原発ってなに?』(現代企画室)

『科学の落とし穴 ウソではないがホントでもない』(晶文社)

まだまだあるが、取りあえずタイトルで『科学と人間の不協和音』『疑似科学入門』『科学の落とし穴 ウソではないがホントでもない』あたりを選んで、科学とは何かを考えてみたい気がする。でもその前に読んでみたいのは、『物理学と神』かなぁ。書店でチラ見して決めよう。

日々本 第45回 針谷和昌)

hariya  2012年3月19日|ブログ