『福島の子どもたちからの手紙 ~ほうしゃのうっていつなくなるの?』
(KIDS VOICE 編/朝日新聞出版)
福島の子どもたち(幼児から高校生まで)が書いている。いろいろ書いている。「避難した子どもたち」編と「福島にとどまる子どもたち」編に前・後半で分かれている。子どもたちが描く原発側の人たちは、だいたいサングラスをしている。ただただ、読み進めていく。しばらくすると「ガラスバッチ」という言葉が何度か出てくる。
何だろう?調べてみたら、どうやら放射線測定器らしい。服の胸なんかに付けておいて、一定の期間が経ったら自治体に渡して、記録された数値がわかるというバッチ。何かがバッチに表示される訳ではないので、調べてもらわないと数値が自分ではわからない。ということで、主に記録用、データ採取用という感じである。
こういうものがあるなんて、まったく知らなかった。福島県では0歳児から中学生まで約30万人に配布されているらしい。「お母さんがいつも『マスクして行けよー!!あとガラスバッチもねー!』というのでうるさいです」という小学校5年生の男子が書いているけれど、その場で線量が高いとか警告してくれる訳ではないので、確かに「うるさい」だろうなと思う。何だか誰かに観察、あるいは実験されているようにも感じるのではないか。
こんなことがなされていることにも、さらにそれを知らなかったことにも、正直ショックである。「僕たちはどうなりますか?いくつまで生きられますか?」と書く中学生もいる。幾つまで生きられるかなんて、自分が中学生の時には考えたこともなかった。「いまの中学生たちが、これからの福島を支えていくんです」今年の1月末に聞いた福島の中学の校長先生の言葉が蘇る。
(日々本 第32回 針谷和昌)
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