『放射能から子どもの未来を守る』(児玉龍彦 金子勝/ディスカバー携書)
著者の児玉龍彦による去年の7/27の衆議院厚生労働委員会参考人説明の話題が何度か出てくる。先ずはそちらを見てみると、この本で語られている重要なことの概要がわかる。
この本では、「お父さん」型と「お母さん」型のやり方、という話がまず面白い。
「お父さん」型:官庁・東電・一部の科学者/男性原理/論理的/確証を得るまで動こうとせず情報を流そうとしない
「お母さん」型:直感的/子どもを始めとする家族を守るためにはお父さんたちがなんとかしてくれるのを待ってはいられない
原子力関係の団体がこんなにあったのかと知らされる表が出ていて、知らなかったものも多い。
[業界団体]
電力中央研究所/電気事業連合会/日本原燃/国際原子力開発/日本原子力産業協会/日本原子力技術協会
[国]
文部科学省―日本原子力研究開発機構
経済産業省―原子力部会/総合資源エネルギー調査会/原子力安全基盤機構/資源エネルギー庁/原子力安全・保安院
内閣府―原子力安全委員会/原子力委員会
今回の原発事故という複雑な問題すべてに対しての玄人である専門家はいないという。
核分裂:物理/放射性物質反応:化学/拡散:気象学・環境化学/生物的濃縮:生物学・農学/ヒトの健康:医学/費用:経済学/賠償問題:法学/マスコミ:社会学
医者や科学者が守るべき「四つの原則」というのがあるという。
・事実はどんなつらいことでもきちんと正しく伝える
・相手に合わせてわかるように伝える
・強制してはいけない
・患者の自発的な判断が決まったらそれを支援する
上記のようにはまとめられないけれど書き留めておきたいこともたくさんある。そのうちの幾つか。
◇MOX燃料を普通の原発(軽水炉)にも使おうといのが「プルサーマル利用」
◇09年民主党政権発足後直嶋経産大臣が一気に再生可能エネルギー派を追いやる
◇五十嵐敬喜、河野栄次、田坂広志といった内閣官房参与が「脱原発」「浜岡原発を止める」という民主党の元の路線に戻そうと動いた
そして著者2人のこららの言葉も、ここに書いていつでも見直すことができるようにしておきたい。
「どこからか資金を得て「生物学的データ」を工学者用に用意してあげている、生物学の研究者がいるのではないか」(児玉)
「事故直後の6~15時間後にメルトダウンが起きていたにもかかわらず、当時は「燃料棒は水に浸かっている」と発表していたが、その根拠はなんだったのか?」(金子)
「なぜ、被害者が加害者であるかのような扱いをするのか」(児玉)
「エネルギーを化石燃料や原発に頼ることをやめ、石油文明・原子力神話から解放されれば、多くの投資や需要が生まれ、働く場所が生まれます。何よりエネルギーが変わると建物が代わり、スマートグリッドによる双方向的な送配電網という新しいインフラに変わり、耐久消費財も大きく変わります。そうやって、技術革新や投資の波をつくっていくしか、日本んが直面する危機を脱する道はないと思うのです」「人と人とが幸せに生きるための経済」(金子)
(日々本 第18回 針谷和昌)
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