『みらいのゆくすえ』(しりあがり寿/春風社)
しりあがり寿は天才だ。漫画の天才。井上雄彦、浦沢直樹と並ぶ現代3大天才漫画家の1人、だと僕は思う。朝日新聞夕刊の連載『地球防衛家のヒトビト』は今年の4/1で連載10年となるらしいが、まったく衰えを知らない。よくもこれだけ新鮮な面白さをキープできるなと、いつも感心させられる。その秘密がこの本を読むと少しだけわかった気がする。
しりあがり寿は、未来に関してよく考えている。ポジティブ。発想がエスカレートしていく中にもバランスがとれている。常識にとらわれない。ビジュアルが思い浮かぶ発想。欲望に正直。
掲載されている79本のエッセイに共通する著者の長所。さらに各回に挿絵があり、それが一コマ漫画のようになっていて、こちらだけでも充分楽しめる。というか、これらの79エッセイを、すべて四コマ漫画にしたらさらに面白いと思う。
予定通り少し、いやだいぶ柔らかい本を読んだ訳だが、読むのが速すぎるというご意見もありそう。実は『日本はなぜ変われないのか』と同時並行で読んでいた。更にもうひとつ、同時に読んでいて読み終わりそうな大作がある。読み終わる時は不思議と重なる。
(日々本 第12回 針谷和昌)
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