正月だから、まぁいいか、というあまり理由にならない理由を心の中でつぶやきながら、厚めの本3冊を買ってきた。積むと厚さ9cmぐらいになる。
『私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。』(ロッキング・オン)
『図説 図書館の歴史』(スチュアート・A・P・マレー/日暮雅通 監訳/原書房)
『福沢諭吉「官」との闘い』(小川原正道/文藝春秋)
ロッキング・オンの本は、電車の中でほぼ読み終えた『SIGHT』VOL.50 の中に「12/28発売」という広告が出ていたので、電車を降りてちょっと大きめの本屋で探した。またまた見つからない。見つけ方がヘタなのだろうか。その代わり探していた時には見つからなかった『SIGHT』VOL.50 が平積みになっている。諦めて手ぶらで帰るのも何なので、「新しい図書館を創る」を目指す(社)本の宇宙 の一員らしく、『図説 図書館の歴史』という本を見つけて買った。
そのまま帰ろうとしたのだけれど、ロッキング・オンの長いタイトルの本が、なぜか駅の近くの別の本屋で見つかる予感がした。行ってみると並んでいる。その隣に並んでいた『福沢諭吉「官」との闘い』も思わず買った。今日もそうだが、本を買う時は、自分にとって必要不可欠な本だ、と思い込んで買う。結果的にそうであることもあれば、あれは思い違いだったということもある。今日の3冊は、当たっていますように。
さて、読み終えた『SIGHT』であるが、驚くべきことがいろいろと書いてあった。そのうちの幾つかを、ここに書きとめておきたい。
「(前略)新潟県知事が声をかけてくれて、市民をできるだけ遠くに避難させることができたというのは、我々にとって、本当に救いのひとつだったと思います。その間、国からの手当って、ないですから。東電からの手当も、ないですからね。それが一番問題だと思います。当事者が、被害者である住民に対して、なんにも情報を出さなかったし、なんにも支援しなかったということが。(後略)」(桜井勝延/福島県南相馬市長)
「(前略)福島では、放射能への不安を言ってはいけないことになってるんですね。(中略)放射線について話題にすること自体が、もう禁じられているという状況なんですね。(中略)福島は大丈夫だと言うためには、極端に言えば、子どもの健康ということには目をつぶらざるを得ない。大変だ、と思わせてはいけないということなんですね。(中略)これだけの事故で、わずか6ヵ月で総括がされて、たいしたことはなかったし、これからもたいしたことはないと、店じまいがされてしまったんです。(中略)福島は、やっぱり切り捨てられるんだと思う。(中略)健康診断をやる必要がある地域は他にもある。でもやらないというのは、それは、福島というところに被害を限局させてしまおうということですよね。(後略)」(山田真/小児科医、八王子中央診療所理事長)
「(前略)避難なのか除染なのかという二者択一にするんじゃなくて、たとえば避難するにしても、家や土地を放棄せずに、避難している間も除染する。住むことができるレベルになるまでは、子どもや妊婦は、線量の低い福島県内に移動すると。(中略)避難するなら早い方がいいですから。やっぱり、2年でいいので、お子さんや妊婦の方には、線量の低いところで生活する手立てを作ってあげてほしい。(後略)」(山内知也/神戸大学大学院海事科学研究科教授)
「(前略)福島第一原発は、津波の襲来前に大きな破損をしたのではないかと。世界で初めて、地震の揺れ(地震動)で原子炉につながっている重要な配管が破損して、冷却剤喪失事故というものが起きたのではないかと。(中略)アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック社)が、自分でこのマークI型の格納容器を作っておきながら、下のドーナツ型の部分は破壊される可能性があるというのを1970年代中頃に言いだした。(中略)マークI型の格納容器は、今日本で、他に浜岡も含めて10基使われていますから、津波対策では済まなくなってしまう。だから、政府と東京電力は、このストーリーについては一切しゃべらないんですね。(後略)」(田中三彦/翻訳家、サイエンスライター)
「(前略)私は、原発の安全対策については、事件が起こったあとになっても、政府はリスクを低めに見て、多少強気に動いていると思っています。強気の根拠は、ひどい言い方ですが、滅多に起こらないことが今回起こったんだから、もう二度と起こらないだろうという前提ですね。(中略)そしてもうひとつ、常につきまとう問題はコストです。(中略)野田さんの安定感が、原発を大きな争点にすることの妨げにもなっているでしょうね。」(藤原帰一/国際政治学者、東京大学法学部・同大学院法学政治学研究科教授)
「―国家・経産省と東電のタッグというのは、震災前となんにも変わっていないということですか。
(前略)あの人たちの頭の中では、反原発とか言ってる人たちはまったく現実を知らなくて、ただの素人で、頭の悪い人たちだと。市民がワーワー言っているのは、ただの感情的な、一時的な騒ぎだと。「まあ、1~2年経てばまた元に戻るよ。みんな忘れちゃうよ。今までもそうだったもん」っていう感じでしょうね。(後略)」(古賀茂明/元経済産業省大臣官房付)
「(前略)日本では原発敷地内、および東京電力の敷地内で人が死ぬと、何も調べないで、他殺だろうが自殺だろうが、死んだという発表だけで済んでしまう。「原子力帝国」というのは、こうして警察権もおよばない、治外法権を作ることだったんですね。(後略)」(上杉隆/自由報道協会代表)
(日々本 第4回 針谷和昌)
※『私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。』はインタビュー集なので著者にあたる人が多数いて、上に書くと収まりづらい。以下が著者です。
飯田哲也 上杉隆 内田樹 江田憲司 開沼博 小出裕章 古賀茂明 坂本龍一 高橋源一郎 田中三彦 藤原帰一 保坂展人 丸山重威 和田光弘
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