
『本 ― TAKEO PAPER SHOW 2011』(株式会社竹尾 編/平凡社)
厚さ、大きさ、存在感充分の本である。めくると本の背表紙や見開いたときの写真がたくさんある。実物大。それらの本を78名の識者が選び78のエッセイも載っている。赤瀬川原平、平野啓一郎、港千尋、茂木健一郎ほか、これでもかと“本”にふさわしい人たちが並ぶ。そして読むというより先ず見たくなる。
「本は物体です」とある。その物体としての存在感が数々の写真で示される。読み込まれてちょっと切れていたり年期の入った本は、その存在感がさらに増す。本の価値は決して新しさに関係ないということを感じる。かえって古い方が価値がある気になる。
電子書籍のリーダーは物体だけれど、電子書籍自体はソフトでありコンテンツであって物体ではない。電子書籍は情報。そんなことにも気がつく。同じ書籍でも片や物体で片や情報。その違いが、本と電子書籍への愛着の違いになってくるのではないか。愛すべきものと処理すべき情報。この違いについてはもう少しまた考えてみたいが、何だかちょっと発見した気になってくる。
(ことしの本棚 第95回 針谷和昌)
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