ことしの本棚94『Library Lion』

『Library Lion』
(MICHELLE KNUDSEN illustrated by KEVIN HAWKES / WALKER BOOKS)

クマの次はライオン。これも『となりのツキノワグマ』と一緒に本の森の中で見つけた。“図書館”をテーマにした絵本だから例え英語でも読んでみたくなった。

結果辞書なしでもほぼ理解できた(と思う)。図書館でのライオンは大人しい。そして役に立つ。自分の特徴を最大限活かして利用者をサポートする。図書館にやってきた当初問題を起こし禁止されたただひとつのことを除いてそしてその約束をずっと守りながら皆に愛される。ある日その約束を破らざるを得ない出来事が…。

誤解ということについて考えさせられる物語である。僕は以前聞いたこんな恩師の話を思い出した。

その昔恩師が中学教師をしていたときに父親が子どものことで学校の職員室に文句を言いに来た。その言い分が正しいか否かでなく父親が酒臭かったことが教員の間で問題になった。そういう親の言い分を聞くべきかどうかという話になったとき恩師は言ったそうだ。「酒を飲んでいたことが本当に問題なのか。酒を飲んで勢いをつけなければ思い切って言えない人もいるのではないか」

相手の立場に立って考えろと昔からよく言われる。いや相手の立場に立たなくても自分の感情や思い入れを可能な限り取り除いて客観視するとハッキリと見えてくるものがある。ついこの間そういうことを教えてくれたラガーマンがいる。このブログにも書いた勇気の人。

恩師や勇気の人がふつうの人と違うのはどこか。月並みな言葉に聞こえてしまうかもしれないがそれは“愛の深さ”ではないかと思う。

ことしの本棚 第94回 針谷和昌)

hariya  2011年12月19日|ブログ